定着した機械化

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砺波平野の農業は、この30年ほどで飛躍的に変わりました。
大型の機械化が進み、裕福な農家は自分の家にトラクターやコンバインから、
もみすり機なども持っているし、中小農家も機械を使わない家はない。
これによって大幅に人手は減らせるし、スピードも速くなるので、
収入も増えるし、農家の経営は安定してきたと言えるかもしれません。

たしかに農作業に従事する時間は、大幅に減ってきたようですから、
農業を楽にしてきたことは、間違いのない変化なのでしょう。
だけど実情としては、大型の機械を使うことで借金を抱えているところも多く、
経営が行き詰まって、土地や家屋を手放している人もいると聞きます。
しかも省力化が進んで、以前ほど人手が必要なくなったことで、
後継者がいなくなり、否応なく高齢化も進んでいるのです。

僕らのように、無農薬・無化学肥料で作物を作る人たちは、
自然となるべく機械も使いませんから、生産効率は比べるべくもない。
ときどき新しくできた耕作放棄地を、使わないかと話を持ちかけられても、
いったん大型機械化された農地は、手作業の農地としてはうまくない。
なにしろ農薬と化学肥料で土地は疲弊し、そのままでは作物ができないのです。

借り受けた土地を、何年も掛けて化学物質が抜けるのを待ち、
同時に草木の繁殖を手助けすることで、土地の回復を図っていく。
何もせずに放置しておけば、やっかいな植物が根を張ってしまうので、
なるべく広く面積を使って、米や野菜を作り続けるしかないのです。
そうして3年から5年もすれば、ようやく普通に米野菜が取れるようになって、
ここから全体の管理が進み、自然農のフィールドになるのです。

そんな農作業をしていると、近くに無人ヘリコプターがやってきて、
実に素早く動き回り、広く農薬を撒いていくのに遭遇します。
さほど高い高度でもないので、無駄に農薬をばらまいている様子もなく、
十分に経験を積んで、効率よく作業しているのが見て取れます。
農作業は次第に、外部委託の経営になりつつあるのでしょう。

昔は百姓なんて言葉があって、農家の人は何でもできたものですが、
今はまったく様子が違って、百姓なんて人はいなくなってしまったのです。
機械化された農業で幸せになるのか、僕らは疑問を感じますが、
経営としては、その方が間違いなく多収入になって安定するのでしょう。
人の姿が減って、様々な機械が動き回るのが今の地方都市で、
僕らはやがて、どんな未来を経験することになるのか・・・