小さな経済、大きな幸せ

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自分がスズキの車に乗っているから、と言うわけではないけど、
「小さな車、大きな未来」と言うキャッチ・コピーが、とても好きです。
昔は世界中に「大きいことは、いいことだ」みたいな価値観があって、
日本製の商品は、そんな世界に高性能な小さな商品を持ち込んで成功した。
性能が良いことと大きさは、必ずしも比例しないことを教えたのです。

常識とは違う発想があったから、日本は世界に認められて、
さらに新しい時代を築く、何か大切なものを示してくれると期待された。
だけどひとたび欧米諸国と同じレベルになると、新鮮味は失われて、
日本自体が日本らしさを失うという、おかしなことになりました。
特にヨーロッパでは、視点の新しさは大切なポイントで、
映画などでも、そうした新しさを持つ作品が認められます。

さて環境保護が、世界中で大切な価値観として認識されると、
シューマッハーの「Small is Beautiful」が、再び注目されてきました。
この本がイギリスで出版されたのは、1973年のことですから、
すでに40年以上にわたり、同じ課題の問題が続いていることになる。
それがすなわち、小さいことの有用性や美しさの確認なのです。

「小さな車、大きな未来」は、そのまま「小さな経済、大きな幸せ」、
と置き換えられるし、これが目指すべき将来の価値感だとも考えられます。
今の日本人は、欧米人と変わらないくらい体格も大きいのですが、
明治の頃までの日本人は、欧米人よりかなり小さかったようですね。
小さいからと言って、日本文化は価値が無かったかと言えば、
その逆で、いまだに多くの日本文化が見直され続けているのです。

僕らの社会は今でも変わらず、大きい経済を求め続けていますが、
大きい経済は建設力以上に破壊力が強く、従って環境破壊も止まりません。
そこで発想を転換して、なぜ大きな経済を求めるかを考えた時に、
幸せになりたいからだと知れば、これを別の問題として捉えられます。
経済は小さくして幸せを大きくする、と言う発想が生まれるのです。

多くの人が考えることは、やりたいことが次々にあったり、
欲しいものがたくさんあったりするので、お金は少しでも多く欲しい。
だけどお金を持つことで、判断しなければならないこともたくさんあって、
気がつけばお金に振り回される時間が、驚くほど多かったりする。
最初からそんな余計なお金がなければ、あまり迷うこともなく、
もっと自由な時間を、たっぷりと使うことができるのです。

何をもって幸せとするか、何に幸せを感じられるかと考えたとき、
お金を使うことでしか幸せを感じられないとしたら、それは中毒です。
もっと自由な発想で、家族や親しい友人を思うことができれば、
幸せはお金で買えないことを、多くの人が知っているはずでしょう。
それを実践することは、それほど難しいことではないのです。