いつのまにか・・・

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横浜で生活した時代に、お世話になった人が癌になり、
7月に電話で聞いたときは、余命数ヶ月と言われました。
今の僕には仕事の日程があって、すぐには行けませんから、
スケジュール調整ができる9月に、予定を組みました。
まだ結婚する前に、妻も会って知っていましたから、
子どもを連れて、9月に家族3人で横浜へ行ったのです。

ところが嬉しいことに、その後の治療が合っていたらしく、
彼は比較的元気に自宅にいて、一緒にお酒も飲みました。
自分の免疫力を高めればいいのだと、得意げに言って、
ウイスキーをお代わりしようとするから、それは取り上げて、
しばらく話をして、僕らも長居をしないで引き上げました。
何も変わっていないような、不思議な感じでした。

せっかく横浜まで行ったので、妻子の希望を入れて、
アンパンミュージアムへも足を運び、楽しい時間を過ごす。
姫には大好きなアンパンマンのいる場所で、大はしゃぎですが、
実際にアンパンマンの着ぐるみが出てきたら、その大きさに、
恐がって近寄ろうともせず、なんか複雑な気持ち。
でもやっぱりアンパンマン大好きで、これも不思議・・・

懐かしい横浜の街は、大きく様変わりしていましたが、
街を歩けば、むかし嗅いだ浜の空気はそのままで、
いやもしかしたら、懐かしいものを求めて歩くから、
そのように感じるだけかも知れないけど、やっぱり落ちつく。
20年前30年前のことが、昨日今日のことのように、
リアルに思い出されて、戸惑ったりもするのです。

自分の人生を振り返ると、辛かったこと以上に、
幸せがいっぱいあって、感謝の気持ちが溢れてくる。
20代の学生の頃から、自由に生きようと決めていたから、
お金には縁がなかったけど、人とは魅力的な縁があった。
その縁に導かれながら、思わず長く生きてきて、
今では妻子まで得て、家族仲良く暮らしています。

いったいどれだけの人に、お世話になったか知れないけど、
横浜のMさん家族は、本当の家族のようにお世話になりました。
その感謝の気持ちは、やっぱり会いに行くことでしか、
示せないと思ったから、何としても行きたかったのです。
いくらかやつれてはいましたが、元気そうな様子だったので、
昔通り憎まれ口もそのままに、楽しい時間を過ごせました。

北陸新幹線を使った三日間の滞在で、出費もありましたが、
お見舞いに行った僕らに、逆におカネを包んでいただき、
まるで親元に行ったような、せつなさも感じました。
20代で沖縄に暮らしたとき、父母がそこへ訪ねてきて、
何も親孝行できない僕に、金一封を置いて行った、
そのときと同じ、大きな何かを感じたのです。

命がけの人生だから、自分にできることを全力でやる。
その時々にうまく行くとき、うまく行かないときがあるから、
信頼できる人、愛すべき人には、できる限りの世話をする。
礼を尽くすのとはまた少し違う、愛情の話だから、
自分が愛されていることを感じて、嬉しくもなるし、
自分もそのように信頼して、人を愛したいと思うのです。

さてさて姫は、アンパンマンミュージアムで緊張して、
表情まで固まっていることが、多かったですね。
だけどジャムおじさんの、パン工場へ行ったときに、
パンを捏ねる道具を使って、ようやく笑顔になりました。
料理が大好きな姫は、自分の居場所を見つけたのでしょう。
そして少しずつ、自分を育てているのですから・・・