山本太郎議員は何故棄権したのか?

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今の日本の危機を象徴するような事態が、国会内で起きています。
それは2月6日の「テロ非難決議」において、テレビ新聞を見る限り、
全会一致で非難決議を採択した、とだけ報道されたことです。
これは二重の意味で危険であり、日本の将来を危うくすることなので、
その理由を今のうちに少しだけでも、考えておきたいと思うのです。

日本を危うくする理由は二つあるのですが、その一つは決議そのもので、
今まで日本人が巻き込まれた事件で、テロそのものには距離をおいてきました。
2008年にアフガンでペシャワール会の青年がタリバンに拉致殺害されたとき、
2013年アルジェリアのプラントで、日揮関連の技術者10人が殺害されたとき、
いずれも国会で非難決議などなかったのに、なぜ今回は全会一致で決議したのか?
今回の事件は以前とは違う、何かこの国を危機に陥れる理由があったのか?

不思議なことに、武力抗争を否定するはずの共産党社民党でさえ、
この決議には賛成で、それどころか唯一棄権した山本太郎議員を非難する。
しかし今回の決議内容を知れば知るほど、この決議の異常さに気がつくので、
誰も反対者がいないことには、背筋の寒くなる思いがするのです。
この非難決議文が指し示すテロとは、なぜ有志連合の敵対者だけなのか?
イスラエルを含む中東の争いにおいて、日本はいつから欧米有志連合なのか?

そもそもイスラム国を生んだのは、アメリカによるイラク介入であり、
この事件の真相は今も明らかになっていないのに、それを問い質すこともせずに、
どうして片方だけを悪者にして、非道卑劣極まりないと非難できるのか?
山本太郎さんはこの点を追求して、非難決議の修正案を出しているようですが、
賛同する人が一人もいないのは、どういうことなのか理解に苦しみます。
これが自衛隊の海外派兵に繋がるなら、すでに戦争への道を歩いているのでしょう。

そしてもう一つ、今の日本の危うさを示したのはマスコミ報道です。
マスコミがジャーナリストとしての使命を、今も持っているのであれば、
今回の決議文をどうして批判しないのか、どうして山本太郎さんを無視するのか?
戦争に向かう政府の方針に、都合のいい報道しかしないのであれば、
それは政府公報であって、市民の声を代弁するジャーナリズムではありません。
現体制に楯突くものが皆テロとは、あまりにもご都合主義と言うものです。

僕らはもっと真実を知る必要があり、そのために知る権利を持っている。
ところが知る権利はいつのまにか、自主的に統制された報道規律によって、
権力者が知って欲しいことだけ、膨大な情報量によって押し寄せてくるのです。
僕らはますます情報を疑い、真実を知る努力を続けていかないと、
やがて政府の都合いいように事実をねじ曲げて受け入れ、自らの判断力を失って、
気がつくと多くの国民を苦しみに落とし、苦難の国になってしまうのです。

世界的に見て日本の報道は、去年よりも悪化して160カ国中61位となり、
世界の先進国の中では、もっとも自由度の少ない国に成り下がっています。
このままではいけないと思うなら、もっと積極的に真実を知ることから始めて、
人の判断をそのまま受け入れてしまうのではなく、自らが考えて判断し、
この国が少しでも良い国になるように、自ら発言していく必要があるのです。