宝石赤珊瑚

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日中首脳会談に時期を合わせて、日本の近海では、
中国漁船による宝石珊瑚の密漁を、厳しく取締り始めました。
さすがに中国も、尖閣領海侵入と一緒にされては溜まらないから、
明らかな領海侵犯は、取り締まる姿勢を示す必要を見せて、
領土問題はそれとは違うことを、明確にしたいのだと思われます。

日中首脳会談はさておいて、密漁されている宝石珊瑚ですが、
よほどの利益になるのか、中国の取締をものともせずにやってくる。
船籍船名も偽って来るからには、偶々やってきたわけではなく、
明らかに珊瑚を狙って、用意周到にやってきたものと思われます。
命の危険もかえりみずに、それなりの資金を掛けてやってくるのは、
それに見合う見返りがあるからで、よほど高額で売れているのでしょう。

特に鮮やかな赤珊瑚が、一番高額で売れると聞いていますが、
実はこの赤珊瑚、僕は石垣島の海で何度も見ています。
しかもそんなに深い海ではなくて、簡単に潜れる場所なのですが、
教えてくれた人によると、地元の人は知っているポイントで、
赤珊瑚がこれだけ浅い場所にあるのは、珍しいとのこと。
潜り全盛時の僕は、大潮の干潮なら素潜りで見られたのです。

浅いと言っても水深は10m以上ですし、潮の流れが速いので、
海のことをよく知っていないと、危険な海域ではあります。
場所はだいたいわかっていたので、大潮の干潮を狙って泳ぎ、
ポイントの一角を見つければ、周囲一帯に赤珊瑚の根がありました。
赤珊瑚が高価なものだと、知らないわけではありませんでしたが、
教えてくれた人も僕らも、それを取ろうと思ったことはありませんでした。

ただ鼈甲ガメの甲羅などもそうですが、40年前には売られていて、
今では見なくなりましたが、お土産品店でも売っていたのです。
赤珊瑚の綺麗な飾り物や、宝石としての赤珊瑚もあって、
それが次第に売られなくなったのは、高価すぎると言うよりも、
人々がそうした貴重なものを、お金で買わなくなったからだと思います。
買う人がいれば売って儲ける人がいても、みんながそうとは限らない。

石垣島では白保を中心に、珊瑚を守る運動が続きましたから、
珊瑚は海の中で見るものであって、宝飾品にするものではない。
そんな認識が育ったから、素潜りで見られる場所にも生き残っており、
僕らは今でも、それを見て自然界の美しい神秘に触れられる。
こうした人間の心を、これからも大切にし続けたいと思うのです。