空き家対策シンポジウム

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ー空き家の実態や諸問題と
       対策条例を通じて市民と行政ができることー
と題して、南砺市の空き家対策シンポジウムが開催されました。
講演と、パネルディスカッションのコーディネーターには、
上智大学法科大学院教授の、北村喜宣さん。
パネリストには、南砺市の田中幹夫市長のほか、
長野県飯山市いいやま住んでみません課の、出澤俊明課長、
新潟県見附市市民生活課生活環境係の、稲田忠義係長、
南砺市自治振興会連合会の沖田光弘会長が、並ばれました。

空き家対策の必要性は、以前から言われていたことですが、
これを市が行おうとすると、何をどうすればいいのか、
ルールがないから、動けない現状があったようです。
そこで南砺市では、飯山市見附市の先進事例を参考に、
南砺市独自の条例を作成すべく、素案が示されているのです。
この素案に対して、まず北村さんが感想を含めながら、
可能性や問題点など、多角的な見地から講演されました。

北村さんのお話の中で、特に印象に残ったのは、
現状では建築基準法によって、建築物に関する認可などは、
富山県に権限があるのに、機能していない現実です。
県には保安上危険な建物は、解体除去を命じることも出来るのに、
この権限をまったく使おうとしない、やる気が無いという現実。
これは飯山市の長野県や、見附市新潟県でも同じ現状のようで、
それゆえに、独自の条例を定める必要があるとのことでした。

南砺市では現在、高齢者だけの夫婦世帯が1,960世帯有り、
高齢単身世帯は、1,498世帯に昇るそうですが、
これらの世帯は近い将来に、空き家になる可能性が高いのです。
そこで今のうちから、空き家をどのようにすればいいのか、
条例を定めて対策を打ち、将来に対応していく必要があるのです。
実際に現状でも、南砺市には820戸の空き家があるようで、
放置しておけば、すぐにも危険な建物になってしまうでしょう。

南砺市の空き家対策は、三本柱の考え方が基本にあって、
◎空き家担当窓口の一本化(空き家バンク、定住促進、防災対策など)
◎空き家等の適正管理に関する条例の制定(H26年3月上程予定)
◎解体・撤去費用の助成制度創設(費用負担がネックになっている)
これを整備することによって、行政が対応しやすくしていきます。
具体的な内容は、庁内プロジェクトチームによって検討中ですから、
いずれパブリックコメントを取るために、公表されるでしょう。

会場参加者からの質問も、熱心に疑問点を聞く人が多くありました。
例えば住宅密集地で公道に面さない住宅や、散居村の農家では、
自費で解体するにも、解体費用をまかなえる価格では売れないから、
あるいは古い家が有れば税金は安いのに、更地にすれば高くなるので、
こうした不都合をどうするのか、検討してほしいとのこと。
古い空き家は、現在の住宅認可制になる前に作られたものがあり、
今では新たに立てることも出来ない、死に地になってしまうのです。

また城端などの古い町中で、ウナギの寝床と言われるような家は、
情緒的には守りたいけど、今では建築申請が通りません。
それでも伝統文化を守るためには、何らかの特区を制定して、
古い町並を守る必要がある、と言った話しも出てきていました。
空き家の問題は、これから10年20年と経つにしたがって、
さらに大きな問題になることが、間違いなく予想されることです。
これをどのように解決していくのか、僕らも考えていきたいですね。