オバマケアと医療保険

イメージ 1
 
現在アメリカでは、TPPよりも国民皆保険を巡る攻防が注目され、
議会は政府が求める予算を拒否して、デフォルトの危機が騒がれています。
いわゆるオバマケアと言われる、国民皆保険を実現するために、
2010年3月には、医療保険改革法に大統領がサインしていますが、
この法律に対する予算の是非が議論され、成立していないのです。

生まれたときから国民皆保険が、あたりまえの日本に暮らしていると、
どうしてこんな法律を拒否する人がいるのか、不思議に感じます。
だけどアメリカでは、保険業界が大きな力を持っていますし、
その保険業界によって作られてきた、医療保険のネットワークを、
今更政府によって壊されたり、税金を使われたくないと言うのでしょう。

17日中に予算が成立しないと、政府の支払いが滞ってデフォルトになり、
株式市場が混乱して、世界的な経済の混乱を招くと言われています。
もちろんアメリカの国会議員は、経済混乱など望んではいないのですから、
何らかの妥協案により、大きな混乱を生じさせることはないでしょう。
あるいは政府の支払いが滞っても、オバマ政権が脅すほどの混乱は起きない、
と考える議員も多く、この双方の強気が事態を膠着させているのです。

日本でもアメリカでも、そして今や多くの国々で債務超過が慢性化し、
収められた税金の多くが、この債務の利子に充てられていますから、
この支払いが滞ると、金融業界の利益吸い上げシステムが停滞するのです。
だけど金融業界に対する支払いなど、履行されなくても問題ないことは、
アイスランドなどが身をもって証明しましたし、必要ないことです。
世界経済に対する影響の多少はあっても、生活は回っていきます。

そこでわかりづらいのが、アメリカにおいてさえ政府と対立する、
金融利益吸い上げシステムとは、いったい何ものを指しているのか?
たとえばTPPなどで、虎視眈々と利益を狙うオオカミとは、
もちろんアメリカ政府ではなく、この利益追求集団だと理解すれば、
最近の国際経済の状況が、ある程度見えてくる気がするのです。

国民皆保険さえ違憲だと考える集団が、大統領と対決しながら、
国民全体の利益よりも、自分たちの利益を優先して利権を主張するとき、
勝つのは必ずしも政府大統領とは限らない、それほどの戦いです。
その利権を前面に押し出したTPPに参加して、日本は何を得るのか?
アメリカ政府は日本を足蹴にしてでも、自国民を守る選択をするでしょう。