ベビーカー・ロード

イメージ 1
 
我が家の北、300mほど離れたところに、
ベビーカー専用みたいな、舗装された道路があります。
本来は自転車専用の道路ですが、段差がないし、
道幅はちょうど、ベビーカーが2台楽にすれ違える広さです。
以前はこの道沿いに、井波高校がありましたから、
通学の高校生が、よく走っていたように思うのですが。

高校が廃止されてから、使う人が急に減ったのか、
この専用道路を使う人は、希にしか見かけなくなりました。
元々は加越能鉄道のレールがあって、気動車が走り、
田園や木立の脇を、気持ちよく駆け抜けていた空間ですから、
井波から高瀬、福野へ、あるいは反対方向の庄川へ行く、
最短距離の道筋として、無駄がなく走ることができるのです。

そこで天気のよい、秋晴れになった昨日の午前中に、
姫をベビーカーに乗せて、庄川方面まで行って来ました。
車で行けば、10分掛からないほどの距離ですが、
のんびり歩いていくと、秋の草花に蝶やトンボが飛び回り、
田畑で農作業する人も、間近にゆったりして見えます。
なんだか忘れていた感覚で、人間が身近に感じられるのです。

まもなく北陸新幹線ができれば、東京まで3時間で行ける、
それが人々の幸せに繋がるのかどうか、説明もないまま、
政財界から見る限り、熱烈な歓迎ムード一色です。
同じ3時間で、井波から庄川までをのんびり散歩して、
少し早い秋の自然を味わって、汗をかいて帰宅した僕は、
東京までの途中が失われるように思い、さびしく感じるのです。

学生の頃に国鉄で、東京と富山を往復するとなれば、
途中をわざわざ大糸線に乗って、あちこちで下車しました。
列車の本数が少ないので、うっかりのんびりしていると、
家まで帰れないような時もありましたが、それでさえ、
駅の待合室で始発を待って、帰ることにすれば、
夜の街を歩いてみたり、やることはたくさんあったのです。

時間は今よりもゆっくりと流れ、人々は穏やかな様子で、
隣町まで歩いていったり、自転車で行ったりしていたのです。
それでも生活は成り立ったし、なんとか生きていけたし、
自然はいつも豊かで、今よりもっと身近に感じていた気がします。
政府とマスコミの先導で、金銭経済優先の競争社会になって、
みんなの幸せは、一部の人の蓄財に変わったのでしょうか。