朗読コンサート

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小矢部市商工会に属する、小矢部商工同友会主催で、
毎年秋には、「いするぎ寺子屋」が開催されています。
これは小矢部の町中に数多くある、お寺さんを活用して、
ロウソク灯りのステージに、マイクなしの生演奏をするもの。
今年はその第5回目で、市役所そばの称名寺さんを使った、
朗読コンサートという、珍しい試みがなされました。

演目に選ばれたのは、ラフカディオ・ハーンの「怪談」から、
耳なし芳一」の段となっていましたから、ピッタリでしょう。
寒い晩秋に怪談話というのも、背筋が寒くなる話ですが、
演者を見ればなかなかどうして、一流の人たちが集まっています。
おりんと琵琶を受け持つ太田豊さんも、雅楽演奏家として、
全国的に有名なな人なら、バロックチェロの永瀬拓輝さんも、
日本では数少ない、バロックチェロの第一人者だとか。

そして朗読を受け持つ林恒宏さんは、金沢を拠点に活躍する、
朗読のスペシャリストと聞いていますから、楽しみでした。
耳なし芳一」のバックに、琵琶の演奏はわかりますが、
バロックチェロとなると、どんな楽器なのかもわかりません。
それでもなんとなくイメージは沸くので、はたしてイメージ通りか、
あるいは全く違う、知らない世界に導かれるのか楽しみでした。

手始めに、朗読、バロックチェロ、おりんと琵琶が披露され、
しばらく休憩をいただいて、いよいよ本題の「耳なし芳一」です。
お寺の本堂には、大勢の人が詰めかけて満員になったので、
全員で少し前の方に詰めたために、演者と観客の距離は縮まり、
ほとんどすぐ傍で演奏し、朗読するような不思議な空間。
そこにロウソクが灯され、電気の明かりが消されましたから、
雰囲気は盛り上がって、みな真剣に聞き耳を立てました。

田豊さんは琵琶やおりんだけでなく、効果音を巧に出して、
朗読の内容に合わせた、雰囲気作りを盛り上げます。
そしてバロックチェロの音色は、少し牧歌的な雰囲気で、
耳なし芳一」をただ恐いだけの話ではなく、夢のような、
非現実的な話として、僕らを漂わせてくれたのです。
聞き終わって明かりがつくまで、僕らは静寂に沈んでいました。