白熱教室 in 建長寺

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すでに何度か紹介したことのある、小林正弥先生の白熱教室が、
去る10月15日に、鎌倉の建長寺で行われています。
禅宗のお寺で、宗教者を交えて正義と善の話をしようと言う、
とても興味深い試みですが、残念ながら僕には遠すぎる。
ところが現代では、ありがたいことにこれがネットで見られます。

午前と午後を合わせて、6時間にも及ぶ白熱教室の様子を、
spiritual-tvの小泉さんが、一人で収録してアップされている。
このシステム自体、経済的採算とは無関係のものなので、
あまり快く思わない人もいるでしょうが、僕にはありがたい。
これがないと、僕には議論の内容を知る機会がないのです。

小泉さんは、小林先生の講義や議論のやりとりだけでなく、
建長寺に入るところから、この会の雰囲気を丁寧に見せていて、
見ている僕も、一緒になって会場に参列している気分になれます。
内容に関しては、僕が解説するよりも直接見て欲しいので、
2時間ずつ3本のアドレスを、下に記しておきます。

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白熱教室 IN 建長寺 千葉大学 小林正弥教授

第1部  http://www.ustream.tv/recorded/17889412
第2部① http://www.ustream.tv/recorded/17959557
第2部② http://www.ustream.tv/recorded/17961269
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一つ残念なのは、午後に予定されていた議論の内容のうち、
社会善と宗教善や、貧困を救うべきかどうかの議論に時間が過ぎ、
原発の是非までは届かないまま、終わってしまったことでしょうか。
さすがにお寺さんに集まった学識賢人ですから、宗教善に関して、
一言ある人が多く、多くの人の発言が長引いていたようです。

それでも小林先生の進行はみごとで、話の内容を全部把握しながら、
なるべく論点がずれていかないように、だけど話の腰を折らないよう、
強引に話を持っていかず、慎重に進められたのが印象的でした。
特に今回は、宗教の考える善は社会善とは違うのかどうか、
阿修羅と帝釈天の対立を実例として話されたのも、面白かったです。

自分の娘を力ずくで奪われた阿修羅が、怒り狂って帝釈天に挑む。
娘が幸せになっているのに、帝釈天を攻め続ける阿修羅に対して、
天界の支配者である帝釈天は、阿修羅を天界から追放してしまう。
娘を奪われた阿修羅の方に、「慈悲なき正義」があるとするならば、
帝釈天には「慈悲ある力」があるとして、双方の是非を問うのです。

また出家在家を問わず、宗教者の多くからは宗教善について、
特定の価値観に縛られた社会善とは違い、絶対善であると主張され、
禅宗では、それが言葉を超えたものであるからこそ座禅をする。
そんな見解が述べられ、多くの人に共通していたのも印象的でした。
できることなら自分も参加して、さらに議論を聞いてみたかった!
 
 
写真は、白熱教室が行われた部屋から見えたはずのお庭です。