空き家利活用シンポジウム

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砺波の散居村ミュージアムで、空き家を地域資源と考える、
「空き家利活用シンポジウム」があったので、行ってきました。
地元で空き家利活用を調査している、NPO「砺波土蔵の会」と、
砺波市が共同で主催したもののようですが、内容は興味深い。

パネリストには、土蔵の会の尾田武雄理事長をはじめ、
新湊での移住交流滞在施設として、空き家を利活用している、
NPO「水辺のまち新湊」の、二口紀代人専務理事が参加。
能登半島で全国発信プロジェクトを運営する、計画情報研究所から、
安江雪菜取締役も参加されて、それぞれ事例報告もありました。

まず土蔵の会の尾田さんの話の中で、一番驚いたのが、
砺波市にある民家総戸数 15,550軒のうち、すでに277軒が空き家で、
この数は増え続けているから、すぐに2%が空き家になるとのこと。
しかも60歳以上で単身世帯数が 1,623軒で、全体の10%を超える、
したがってそう遠くない将来に、全戸数の1割以上が空き家になるのです。

砺波平野で唯一人口が増えていると言われる砺波市で、この状態なら、
人口減少で限界集落が増えるとまで言われる、南砺市の場合、
さらに進んで、十数パーセントの家が空き家になる日が遠くない。
祭りや自治体活動が維持出来なくなって、田畑の維持も困難になり、
用排水路の維持が難しくなって、不在地主の用水費なども上がっていく。

水辺のまち新湊の二口さんは、現在3軒運用している滞在施設で、
どのような運用状態になっているかを紹介する、将来展望の話でした。
このNPO法人は、彼一人の給料を出すこともままならない経営状態で、
支援する企業によって、彼の生活が賄われているとのことですから、
預かっている民家の所有者にも、十分なお礼ができない状態なのです。

この二人の話を合わせて考えると、空き家を利活用することが、
そう簡単ではないことが見えてきますし、経済の合理性も難しそうです。
となると、空き家に移住して住んでもらうのが、もっとも利活用になる。
そこで「能登スタイル」でまちおこしするプロジェクトの安江さんの話では、
珠洲市には、空き家へ移住する人に「能登里山マイスター制度」がある。

もはや人口減少による空き家の増加は、日本中の課題のようで、
今のうちから特色のある手を打って、将来の空き家利用をどうするか?
計画的に考えて、活用のプログラムを用意しておく必要がありそうです。
そのためには、都合よく「来て欲しい人」ばかり求めるのではなく、
田舎で農的暮らしをしたい都会人のニーズに、応える必要もあるでしょう。

新しく田舎暮らしを求める人は、今までとは違うものを求めているので、
そうしたニーズを把握して、なおかつ提供出来るところだけが、
将来に渡って、新しい流動人口を取り込んでいくことができるでしょう。
自然農で暮らせる受け入れ地域があれば、子育て世代が来るのになあ・・・