強い南西風

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未明の早朝から、強い南西風と共に雨が降り出しました。
台風崩れの低気圧と、東西に長く伸びた前線の影響でしょうか、
昨夜から気温は下がらず、梅雨のようななま暖かい気候です。
3.11の原発事故以来、あらゆるものがそれ以前とは違ってしまい、
雨風の情報を聞くにつけても、原発からの放射能が懸念される。
これから台風シーズンを迎えるにあたっては、なおのこと、
建屋も無くなっている福島第一原発の、台風被害も心配です。

そんな中で、菅首相中部電力浜岡原発の全面停止を要請し、
中部電力がこれを受諾したニュースは、一つの安心ではあります。
それでは他の原発は大丈夫なのか? との疑問は当然のことで、
原発を抱えている県の知事たちは、納得できる説明を求めています。
菅首相と政府は、「浜岡原発が特別なので、他の原発は問題ない!」
とよくわからない説明に終始して、混乱が始まっている。
原発は、その閉鎖システム自体に問題の根元がありますから、
どこの原発だろうと、危険性は同じことですからね。

膨大な数の住民が、着の身着のまま避難を余儀なくされて、
二度と故郷に暮らせないかも知れない、甚大な災害のさなか、

「1000年に1度の津波に耐えているのは素晴らしいこと。
 原子力行政はもっと胸を張るべきだ」とか、
「東電は(大型の地震津波による)被災者の側面もあり、
 政府が東電を加害者扱いばかりするのはいかがか」

と発言してきた米倉経団連会長は、浜岡原発停止にも反対のようで、

「電力不足の中、今後30年間で87%の確率で東海地震が起きるとの
 確率論だけで停止要請したのは唐突感が否めない」
「結論だけがぽろっと出てきて、思考の過程が全くブラックボックスになっている。
 民主党政権は透明性を強調するが、どういうことなのか政治の態度を疑う」

とこれもよくわからない苛立ち的発言を、繰り返しています。

経済拡大のことしか頭にない、カネの亡者のような輩ならともかく、
国の方向性を担う柱の一つである経済界の会長であれば、この国の将来が、
どのような姿であるべきかを、当然考えていてしかるべきでしょう。
だとすれば、多くの国民が疑問に思っている原発推進に対しても、
どのような反対論があるかくらいは知っているでしょうし、その中でも、
浜岡原発の危険性や、当初からの根強い反対運動のことは知っていて当然で、
それゆえ菅首相が、他の原発はいいから浜岡を止めたいのも当然と知っている。

さてここでもう一度、米倉経団連会長の苛立ちを考えるならば、
彼は「原発システム自体の問題や脆弱性」を知っているからこそ、
浜岡原発も他の原発も何が違うのか?と言ってしまったのではないか?
現に浜岡原発が立地する御前崎市の石原茂雄市長も、静岡県川勝平太知事も、
苦渋の中にも安堵の表情で、原発が停止することで胸をなで下ろしている。
まるで原発なんか動かしたくなかったのに、仕方なかった!と言わんばかり、
政府から“停止”のお墨付きをいただいて、ホッとしているようなのです。

面白くないのは、いまだに多くの原発を動かし続けなければならない県で、
なぜ浜岡原発だけが停止なのか、その根拠を明確に示せ!と要求します。
事情を知る多くの人が考えることは同じで、そもそも原発は危険ですから、
浜岡だけが危険で、そのほかは安全だなんて説明は成り立たないのです。
だからこそ米倉会長は、いかに多くの地元民に前代未聞の迷惑を掛けようとも、
何が起きようと日本経済界の威信をかけて、日本の原発はすばらしい!と言うのです。
こんな人たちの言葉をいちいち真に受けていないで、さっさと原発を止めればいい。

繰り返し言いますが、日本は自然エネルギーの宝庫であり、
それを利用する技術だって、世界に輸出する優れたものがある。
原発推進に掛ける膨大な予算を、自然エネルギー開発に向けていれば、
毎年海外から購入する、20兆円超えるエネルギー費用は福祉に回し、
馬鹿げた借金で、貧富の差を拡大することもなかったのです。
今からでも遅くはない、知る人はみんな知っている危険な原発はやめて、
少しでも早く、この国のエネルギー政策を転換させる必要があるのです。

そうすればこの強い南西風も、夏の台風も、
以前と同じ夏の風物として、迎えることが出来るでしょう。
さあ早く、生き物に優しい持続可能な循環型社会へ!