白い悪魔

イメージ 1
 
今年1月の大雪では、100人を超える死亡者が出たと聞きました。
新潟県では、4メートルを超す記録的な積雪もあったようですが、
死亡した被害者の多くは、屋根雪下ろしでの落下や落雪によるもので、
雪に埋もれて動けないまま、死に至る例が多かったようです。
それゆえ行政では、一人では作業しないように呼びかけていますが、
現代の田舎暮らしは高齢の一人暮らしが多く、雇える若者もいないので、
高齢者が一人で、屋根雪下ろしをするしかないのが実情でしょう。

大雪の被害は、地震や台風や津波よりも見かけは穏やかですが、
最近の自然災害で、100人を超える死者が出たものがどれだけあるか?
そう思って見れば、この大雪がいかに大変な災害だったかがわかります。
しかもこれだけ被害が大きくなった背景には、過疎化の問題があって、
除雪するに十分な人出がないから、一人で危険を冒すことになる。
せめて近所の住人が助け合って、作業すれば良さそうなものだけど、
一夜にして1メートルの雪が積もれば、まず自宅の除雪をするしかない。

先週末に僕らは、町内の隣近所9軒だけで班の新年会をやったのですが、
話題はもっぱら雪害のことで、滑って腕をケガした人も二人いました。
滑って転んだときに、思わず手で体を支えようとして支えきれず、
脱臼や打ち身で、何週間も腕が使えなくなったというのです。
町内会のメンバーも高齢化が進んでいて、簡単に骨折するようで、
僕も次第に他人事ではなくなると、覚悟しておいた方が良さそうです。
除雪がなくてもこれだから、一体どうやって除雪をすればいいか?

屋根雪下ろしの請負人は大忙しで、先週の今頃が最盛期でした。
すでに寒波は去って青空が広がり、気温も急激に上がっていましたから、
もう屋根雪下ろしはしなくてもいいだろう、と判断できましたが、
数日前の大雪時に屋根雪下ろしの予約をした人は、キャンセルが難しい。
まだ降るかも知れないから、そのまま下ろしてもらうと言うわけです。
この日当だって馬鹿にはならないし、我が家のように公道に面していれば、
道路に雪を下ろすことも難しいので、トラックを頼む必要も出てきます。

写真のような豪雪を見ると、ここはまだ雪が少なかったと安堵もしますが、
こうした積雪があった人たちは、毎日除雪するだけの消耗戦だったはず。
この大災害に、地震や台風や津波のような援助がないのはなぜなのか?
見た目が派手に破壊される地震などの自然災害に対して、雪の被害は、
昔から「白い悪魔」と言われるように、静かに圧倒的な被害が広がります。
見た目の白い美しさの下で、人間の努力を強靱な悪魔があざ笑う。
それでもやがて春が来ると信じるから、僕らは努力をするのですが・・・

春よ来い! 早く来い!