リークの時代

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今や突然、全世界で最も注目される人物となったのは、
ウィキリークスWikiLeaks)の創設者で、元ハッカーと言われる、
オーストラリア人のジュリアン・アサンジ(Julian Assange)さん。
インターネット社会では、情報を隠すことは難しい!と言われてきましたが、
今までのところ、様々な機密情報は権力によって守られてきました。
それが突然、あらゆる機密情報がリーク(漏洩)され始めているのです。

ちょうど日本では、つい先日に尖閣諸島での中国船衝突事件で、
なぜか政府が隠そうとした映像が、リークによって配信されました。
たった一つの情報流出で、あれだけ大騒ぎしたことに比べれば、
ウィキリークスの規模は、世界の権力者を揺るがせるものでしょう。
世界的な多国籍海運企業トラフィギュラによる、有毒物質の不法投棄や、
バグダッドの米軍による市民銃撃事件など、特ダネ情報によって、
今やジュリアンは、世界中で注目される人になったのです。

すでに中国では、ウィキリークスへの接続は遮断されているようですし、
米政府は、こうした情報公開は国家の安全保障を脅かし人命を危険にさらす!
として激しく彼を批判して、別件逮捕のような国際手配まで起きています。
それだけ信憑性の高い情報を流している、証明でもあるのですが、
911事件以後、多くのマスコミが権力の追従者になったことを思えば、
真実を知りたい市民の欲求が、こうしたサイトを生んだとも言えるでしょう。

彼は流出させる内容を事前にチェックして、確証の持てるものだけを流し、
「権力者の横暴と戦うことこそ、優れたジャーナリズムの役目であり、
 権力は挑戦されると反発するものなので、物議を醸す情報公開は良いことだ」
として、自らの信念を持ってこうした活動を行っているわけです。
いわば役目を果たさなくなったジャーナリズムに対する挑戦でもあり、
こうした動きは、もう止めることはできない時代なのだと思います。

すでにバンク・オブ・アメリカの内部文書が公開されるとの情報から、
その銀行株が3%値下がりしたとの情報もあり、影響力は経済にまで及ぶ。
こうした活動に、法律でジャーナリストを保護しているスウェーデンでさえ、
就労申請などが却下され、今後の動向も注目されているのですが、
逆にエクアドルなどは、彼に居住権を与える意向を示している。
アメリカの国務長官は「国際社会への攻撃」と厳しく批判していますが、
この国際社会とは、市民のものではなく巨大利権者のものなのでしょうか?

公共の利益に反するとして隠蔽されてきた情報が公開されたとき、
多くの場合は、権力者の不都合な事実が隠されていただけだとわかる。
今やついに、彼は性犯罪者としてICPOから国際指名手配されていますが、
なんとか彼を捕らえて活動をやめさせたいのが、権力者の本音でしょう。
しかしすでに、リークの時代は始まってしまったのですから、
もう彼一人を捕らえて、止められる流れではないと思うのですが・・・