市民会議の学習会

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南砺市まちづくり条例・市民会議の、自主的な学習会として、
今度は大掛かりに、講師を招いた講義と夜なべ談義がありました。
講師として来ていただいたのは、長年富山市に在住されながら、
早稲田大学教育・総合科学学術院長をお務めの宮口恫廸(としみち)さん。
彼は長年に渡り、社会地理学における地域社会を研究されており、
いわゆる農村過疎地域が、これからどうあるべきかを提唱されています。

会場は、いづれ別写真でちゃんと紹介したい秀夢木楽館を使い、
挨拶と講義は3階の集会場にて、7時~9時の2時間を掛けたあと、
夜なべ談義は、右の写真にあるような洒落た1階のホールでの開催です。
この秀夢木楽館は、地元南砺市のヤマヒデホームさんの持ち物で、
今回は、ヤマヒデホームの専務が企画された学習会でもあったので、
このようにお洒落で社交的な雰囲気の、夜なべ談義となりました。

飲食を伴うために、参加費が4千円となっていましたので、
現金収入の少ない僕には、けっこうハードルが高い企画でした。
そのことを言うと、それなら食材を4千円分提供すればいい!と言われ、
それならとばかり、米と野菜を提供して今回の参加となったわけです。
企画側の柔軟な対応で、講師を囲んでの自由なお話に参加できましたし、
自分の食材が、美味しく調理されたのを見るのも嬉しかったですね!

講義の内容は、事前に宮口さんの著作を読んでおきましたので、
ほぼその通りの内容を、確認しながらお話として聞くことが出来ました。
特に彼の専門で、日本各地の特色がどのように成り立ってきたのか、
実は南から北まで、同じような農村風景が見られる日本の特色を指摘して、
みんなが同じ中流を目指してきた社会が、マネーゲームで崩壊したこと、
そしてこれからは、地域の特色を活かしたまちづくりが必要と解説される。

経済活動のグローバル化で、世界的な系列化が進む現状に対して、
系列に組み込まれて埋没するのではない、地域の価値を活かすことで、
競争に勝つのではなく、負けない状況を作る必要があるとも主張されます。
そのためには、同じような人が一緒に力を合わせる共同ではなく、
違うタイプの人や組織が、多様な力を合わせる協働が必要になっている。
こう解説されると、協働に対する再認識も出来た気がします。

さらに多くの実例を挙げながら、自治体職員の役割がいかに大切か、
情報と予算を持つ自治体職員こそ、協働の要になるべきだと主張されます。
この点に関しては、まったくその通りだと思うと同時に、残念ながら、
多くの自治体職員は、そうした主体的な意識に欠けている気がするのです。
その理由も宮口さんによれば、まだ仕事に慣れない新人職員はまだしも、
自分に適した持ち場を得た職員は、もう人事異動は控えるべきだと言います。

たしかに、多くの市民活動をしている人たちから聞く不満の一つとして、
せっかく何か解決する道筋を見つけても、2~3年で人事異動があるので、
自治体の職員は、基本的に相手にしても役に立たないと言うのがある。
そして成功した多くの自治体の協働作業では、市長や職員が長年に渡り、
一つの企画を推し進めたことが、成功の鍵だったと言うものです。
これはぜひ、南砺市の田中市長にも考えていただきたい課題だと思います。

まとめとして、基本条例は市民の理想を示す市民憲章ではないので、
何よりもまず、住民の権利と行政の説明責任を明らかにすること。
そう言われると、前文にさえ「持続可能」や「循環型社会」の文言なしで、
権利や責任を示す条文に、市の在り方を入れるのは困難だとわかります。
時代のキーワードとしてのエコ・食・文化・持続的・美しさを言われると、
さてこれをどのように実現するか?僕の関心はそこなのですが・・・