「なんと楽しいツーリズム」を考える会

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南砺市では、去年から今年にかけて、
まちづくりを考える様々な会が立ち上がっています。
田中市長の肝いりで始まった、まちづくり条例市民会議のほかに、
市民会派の議員グループが始めた、市内各地での意見交換会
続いて大会派である自民会派の、市内一斉の意見交換会
さらに井波地区では、井波区域内の有力者による「語る会」があり、
この会の報告会が、地区選出の議員や市長を招いて開かれました。
誰でも参加は自由だったので、僕も聞きにいきましたが、
井波地区に特化した話しなので、南砺市としては物足りない。

そんな中で、昨夜参加した「なんと楽しいツーリズム」を考える会は、
南砺市のあちこちで、実際に市民活動されている人たちが集まった、
実にユニークな会であり、話しも盛り上がって楽しいものでした。
僕は農政課の富田さんに誘われて、初めて参加したのですが、
栃原自然学校の加藤さん、蓑谷ツーリズムの橋場さん、
利賀で農体験など企画されている中西さん、商工会の松岡さん、
グリーンツーリズムの本田さん、等々の活躍されている人たちで、
今回は市議会議員の山瀬さん宅で、田舎料理を食べながらの会、
僕は自然農を中心とした市民活動実践者としての参加です。

最初に山瀬さんから、「田んぼの学校」の実情説明があり、
小学校5年生を対象とした、子どもたちの農体験の意味について、
説明のあとは、すぐに活発な意見交換が始まりました。
この「田んぼの学校」は、単なるお手伝いやイベントではなく、
稲作の仕事と経営を実体験する、総合学習の場としてとらえます。
一反の田んぼで、播種、育苗、田植え、草取り、稲刈り、販売、精算、
そして清算後に出た利益処分まで、子どもたちが中心に行われます。
今ではどこにでもある、田植えと稲刈りだけの体験学習ではなく、
仕事としての農業全体を体験することで、社会学習をするものです。

参加した皆さんからは、現代の生活が失っている親子による継承、
親の仕事や生活のノウハウを、子どもが受け継いでいないことによって、
基本的な人間の信頼関係までが失われている、との話が出ました。
これは僕が普段から言っているのと同じで、合理性ばかりを追求して、
人間的に大切な何かが失われていることを感じているわけです。
それをどのように回復していくかが、参加者全員の共通認識にあり、
この価値観の共有によって、信頼関係が成り立った会でもあったのです。
皆さんそれぞれ思うところがあって、自分で行動されているのですが、
言葉ばかりではなく、実践されているところが魅力的でした。

こんな楽しい意見交換の中で、今回一番興味深かったのは、
南砺市金沢市の境にある、土山自治会から参加しておられた、
青木さんのお話をきっかけに盛り上がった、地域の遺産の話しです。
砺波平野とその周辺山間地は、親鸞による浄土真宗の場として有名ですが、
実はこの地域の大きなお寺の多くは、もともと天台密教が開いたもので、
それがドミノ倒し的に真宗の寺になった経緯は、興味深いものがあります。
と同時に、加賀藩の豊かさを食と火薬で支えたと思われるこの地域には、
何百年と続いている山里文化があり、土山もその一つであって、
青木さんたちは、この自然文化を守りたいと考えられているのです。

僕が井波に帰って10年が過ぎ、南砺市ができて5年になりますが、
まだまだ知らないことが多く、この地域の豊かさには驚くものがあります。
なにしろ奈良時代から、この地域は豊かな穀倉地帯として知られており、
この地域と奈良平安を結ぶ山道は、いまだに多くの人が知っている。
加賀が百万石として栄えることが出来たのは、砺波平野のおかげであり、
軍事的にも文化的にも、五箇山の後ろ盾が無ければ成り立たなかったのです。
今ではすっかり寂れている、富山と石川の境界線上の山間地には、
驚くべき長い歴史文化が潜んでいることを、この日初めて知りました。
ちょうどこの季節、見応えのある銀杏の落葉が見られると聞いて、
近くそれを見に行こうと、今回誘っていただいた富田さんと約束しました。