スローライフ・フォーラム in となみ野

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昨日12日(金)~明日14日(日)に掛けての三日間、
「富山新時代“住まう”を考える」と題して、
スローライフ・フォーラム in となみ野」が開催されています。
今日はその二日目で、僕が住む地域の井波でも分科会があったので、
どんな内容なのか、パネルディスカッションを聞きにいきました。
分科会のテーマは「美しく楽しく過ごす技と祭りと味と」で、
豊かさの原点を探るもの!とされていました。

写真は左端に立っているのが、南砺市の田中市長で、
隣の左から、コーディネーターが朝日新聞の坪井ゆづるさん、
パネリストとして、島根県立大学名誉教授の田島義介さん、
同じく総務省自治行政局過疎対策室長の藤田穣さん、
そして地元南砺市から、井波彫刻協同組合理事長の岩倉雅美さんと、
帰農塾などを主催されている、NPO心泉いなみ理事の杉森桂子さん。
それぞれ自己紹介のあと、本題に入ったのですが、
田島さんの話として、人々の意識の変化は面白かったです。

20代青年の意識変化では、最近の若い人の特徴として、
「あの世」や「奇跡」を信じる人が大幅に増えており、
「父親は仕事、母親は家庭」と思う人が激減して、
「仕事より家庭」と考える人が何倍にも増えているそうなのです。
これは合理性を重んじた近代社会の価値観が、揺らいだ証であり、
持続可能な能力を失った現代の産業経済社会は魅力を失って、
自然豊かな田舎の価値が上がっている、と特徴づけています。

何を今さらこんな常識を、遠くから人を呼んで話す価値があるのか?
とも思ったのですが、やはり地元の二人が話す内容が面白い。
世界有数の、自然豊かで文化に富んだ日本の中で最も住んでみたい県、
として挙げられている富山県の中でも、豊かさが凝縮されたとなみ野です。
田舎家でも町家でも、広い面積にたくさんの部屋を持つ住宅があたりまえで、
子どもたちは、その家の空間を走り回ってのびのびと育っていく。
家の中には、昔からの伝統文化に育まれた調度品が普通にあって、
山の幸も海の幸も日本有数の、つまり世界有数の美味しい地帯でもある。

話しが進めば進むほど、遠方からのパネラーはうらやましがる一方で、
今日のテーマであった「美しく楽しく過ごす技と祭りと味と」は、
すでに僕らの生活には、当たり前にあるものばかりだったのです。
ところが南砺市の行政課題を南砺市民に聞けば、過疎化だとか、
少子高齢化だとか、限界集落と言ったマイナス面ばかりが協調される。
世界一豊かな地域で、この豊かさを持続させることを考えずに、
マスコミに踊らされた問題意識では、感覚がずれていると思うしかない。
これから大切なのは、この豊かさをどのように将来へ繋いでいくか、
と言うことでしかないはずなのですが、なかなかそうはならない。

なるほど、南砺市民にとっては当たり前のことに気付くために、
わざわざ遠方から、専門のパネリストに来ていただいたのだと思えば、
たまにはこうしたフォーラムも、価値があるのかも知れません。
そしてこうした企画を活かして、僕らは将来にどんな生活を望むのか?
と考えたときに、この豊かさを持続可能な循環型社会にすることを、
当面の目標とすればいいのではないか? と考えるのです。
分科会最後に田中市長が挨拶として話されたことは、彼の持論であり、
便利さを求めた時代から、懐かしい未来への転換を促すものでした。

そのために何をすべきか、早く具体的な議論に入りたいものですが、
まだまだ多くの市民は、持続可能な循環型社会とは何かさえ知らない。
だとすれば今必要なのは、この新しい価値観をいかにして市民に伝えるか?
そして市民の合意としての、持続可能な地域社会の建設だと思うのです。
南砺市の可能性は、世界一豊かな地域としての可能性なのですが、
それを活かせるかどうかは、すでに最先端の協働意識に委ねられます。