玄関のお地蔵さん

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我が家の玄関には、小さなお地蔵さんがおわします。
10年前この家に帰ってきたときには、すでに鎮座されて、
なぜか片づけようとは思えずに、ずっとそこにある。
玄関の靴箱の上で、専用の座布団まで敷いてありますから、
なにやら粗末には扱えない雰囲気なのですが・・・

このお地蔵さんは、いったい何者なのか?と、
一度も疑問に思ったことがないのも、不思議ですが、
なぜここにあるのか、今まで聴いたことはありませんでした。
ところが数日前に、偶然それを知っている人と出会い、
思わぬ母のエピソードを聞いたのです。

母が生前、まだ病気で歩けなくなる前のことでしょうが、
近所の人たちと、旅行に行くのを楽しみにしていたようです。
そんな旅行の一つに、佐渡へ行ったようなのですが、
そこでこのお地蔵さんに出会い、連れて帰ったとのこと。

佐渡では、子どもを亡くした親がお地蔵さんを作り、
野原などに置き去りにして、供養するのだそうですね。
それを見た母が、誰もお世話しないのはかわいそうだと思い、
拾い上げて、持ち帰ってしまったのだそうです。

そうした行為が、良いことなのかどうかはわかりませんが、
母には確かに、そうした性格があったと覚えています。
滅多に家に帰らなかった僕が帰宅したとき、
見知らぬ娘が家にいて、驚いて話を聞いたら、
親の都合で育てられない子を、預かっているのだとか。

なるほどそんな母が、佐渡の路上で小さなお地蔵さんを見て、
連れ帰った気持ちは、わかるような気がするのです。
目立つこともない、ありふれたお地蔵さんに過ぎませんが、
母はこれを見て、何か心に触れるものを感じたのでしょうね。
その心がこもっているから、今もここにあるのでしょう。

 !合掌!