7月10日は『なんとの日』

イメージ 1
 
南砺市の田中市長提案で始まった、若者向けの「七転び八起き塾」。
その塾生が提案して始まったのが、7月10日の『なんとの日』で、
昨日記念式典に合わせて、「なんとを想う!市長と生激論」がありました。
市長と議論する場はなかなかないので、僕も行ってみたのですが、
会場参加者は議論どころか発言の機会もなく、ただ見ているだけです。
そう言えば民芸の時も、パネラーだけが言いたいことを言って、
一般参加者は発言の機会もなく、これが南砺市のやり方なのでしょうか?

ずらり並んだパネラーは、
田中幹夫 南砺市
且見公順 南砺市議会議長
西村亮彦 南砺市商工会会長
川合声一 南砺市観光協会会長
本田 敏  南砺市商工会青年部部長
長田久美 観光ガイド「機の声じょうはな」代表
 北 厚子 南砺市民生委員児童委員協議会上平地域主任

と言うわけで、普段から発言の機会をたくさん持っている人たちです。
それぞれ団体長として、責任ある地位にあり、考え方も明確な人たちと、
この公開の場で、七転び八起きの塾生たちは何を激論しようと言うのか?
疑問に思いながら聞いていたら、市の活性化には観光重視の経済開発だとか、
高速道路のインターチェンジを出ても、何もないのが良くない!とか、
南砺市を回遊させて、数とリピーターを増やさなければならない!とか、
こんな、どこかで聞いたような話を聞かされに来たのでしょうか?

中には、「10年間の南砺市総合計画はあっても、方向性がみえない!」
と発言された方もいて、それを議論するんじゃないの?と思っても、
僕らは発言が許されず、苛立たしいショーを見せつけられるだけでした。
僕だけがそう思うのかと思ったら、すぐ近くに陣取っていた女性グループも、
同じような不満を持たれていたようで、「これが激論なの?」
「私たちの方が、よほど言いたいことがあるのにね!」と心外な様子。
途中の休憩で帰ろうかと思いましたが、せっかく農作業を止めてきたので、
ともかく最後まで聞いて、今後の参考にすることにしました。

実は前半の内から、田中市長だけには応援したい視点があって、
南砺市は自然と人間性が良いので、これを活かしたい!
◆経済よりも、どうやって幸福度をアップさせるか?
◆市民全員が安心安全に暮らせるようにしたい!
◆未来はどこにあるか、長所を伸ばす市政にしたい!
と話されているのですが、塾生も含めて経済信仰が邪魔するのか、
話の噛み合わないことが多く、内容に期待が出来なくなっていたのです。
ところが後半には、パネラーも慣れたのか本音が聞かれるようになりました。

例えば砺波市との比較で、合併前の旧町村の行政には弊害が多かったこと、
あるいは塾生提案の、金沢を意識したベッドタウン化での人口増加策に対して、
昼の時間帯に人がいない町が、はたして本当に良い町なのかどうか?
便利だけではない、気持ちよく暮らせる南砺市を大切にしたい!など、
前半で主流だった観光重視の話が、いつのまにか生活重視に変わったのです。
それはたしかに観光においてさえ、南砺市の魅力は何かと問えば、
豊かな自然文化と美味しい食材が一番であることは、間違いないのです。

そこへ観光客を増やす理由は、経済の活性化を目論むのでしょうが、
それならなぜ経済を活性化させたいのかと問えば、豊かな自然に包まれた、
安心安全な暮らしを実感し、維持したいからではないでしょうか?
その安心安全な暮らしの実現には、お金経済よりも大切なものがある!
南砺市の魅力とは、美しい自然文化を大切に味わって暮らせる場所であること、
合掌造りや散居村など、自然に調和した生活文化を大切にすることでしかない!
とまあ、2時間以上掛かって、やっとこさ当たり前の結論に至ったのです。

なんだかなあ・・・と言う気はしないでもありませんでしたが、
それでもともかく、導き出された結論だけは間違っていないと思うので、
ちょっと一安心の「激論?」だったと思います。

最後に田中市長が、これからの南砺市は、
「僕らが子どもの頃に夢見たような、便利な都会化ではなく、
 “懐かしさ”を実現するような未来になればいい!」
と発言されたところで、僕は安心して家路につきました。
強引な集約農業ではなく、命と向き合う生き方としての自然農も、
そうした方向性の中にあることは、間違いないのです。