日本人と野球

イメージ 1

プロ野球CS第一戦、落合監督がそつなく巨人を下した同じ夜に、
パリーグでは野村監督が、逆転満塁さよならホームランを浴びて負けました。
弱小チームの楽天イーグルスが、このところ勢いづいていたので、
もしかしたら勝ち続けるのでは?と思っていたところでの大逆転負けです。
まあ、この辺が限界かと思いながらも、まだ一抹の期待は持っているのですが。

日本にJリーグが出来てから、野球人気は翳りが出たと言われますが、
どっこいWBCの大騒ぎに見られるように、日本人は今でも野球が大好きです。
特に戦後の日本で、多くの日本人の精神構造に影響を与えたと思われる、
この野球とはいったい何だったのか? 一度考えてみる価値はあるでしょう。

そんなことを思ったのは、今年、野村監督の楽天が面白いのと同時に、
先日は、野村采配にスポットを当てるNHKの特集番組があったり、
来月砺波で公開を企画している「地球ステージ5」の中で、桑山紀彦さんが、
「野球は平等を教えるのに適したスポーツだ」と話されていたからです。
なるほど面白い見方だと、感心して話を聞いてしまいました。

たとえば、同じ団体競技のサッカーでは、スター選手は出やすくても、
誰にでも平等に得点のチャンスがあるわけでないことは、明らかでしょう。
ところが野球は、全員が同じバッターとして打席に立つチャンスがある。
待ってさえいれば、必ず平等にチャンスが来るところが良いのだと言うのです。
海外で難民の子どもたちに接する機会の多い、桑山さんならではの発想で、
生きるために先を争う人たちに、秩序を教える役に立っていたのです。

たしかに日本社会の年功序列や、みんな平等のスポーツマンシップは、
いまだに大人気の高校野球に見られるとおり、教育の基本にさえなっている。
企業へ就職する場合において、野球経験者が比較的優遇されるらしいのも、
チームワークを知っていると共に、順番待ちの規律を知っているからでもある。
だからこそ野球監督は、企業リーダーの心得にさえ影響もするのでしょう。

今年脚光を浴びた野村監督の教えの中で、誰にでも通じそうな一言が、
僕の記憶に鮮明に残っているので、それを一つ紹介しておきましょう。

「考え方が変われば、行動が変わる
 行動が変われば、習慣が変わる
 習慣が変われば、運命が変わる」

だから大切なのは、自分の考え方をしっかり持つことだとして、
ものごとを自分で考えて判断できる人間になることの、大切さを諭される。
それを実践する選手の存在によって、楽天は強くなったのでしょう。
同じ事は、誰にとっても言えることなのだと思いました。