日本海軍の反省会

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今年のNHK終戦特集は、見る価値の高いものが多い。
中でも昨夜の「日本海軍400時間の証言」には驚きました。
つい最近まで、そのような会が毎月のように行われており、
太平洋戦争開戦に至る当時の、軍令部の様子がよくわかって、
軍部の事情だけで、開戦するに至った事情が見えたのです。

後世の人々が、二度とこのような轍を踏まないための反省会、
とのことでしたが、司会のアナウンサーが言っていた通り、
当時も今も、軍部も行政府も、自分たちの保身ばかり優先する。
例えば開戦するかしないかの判断をする時期に、軍令部では、
少しでも自分たちの予算を増やしたいために、謀略をして、
何の根拠もなく、戦争に勝てるとして予算を増やしていった。

陸軍は陸軍の事情ばかり優先して、海軍は海軍の事情ばかり、
その海軍で、海軍省の役割を軍令部が統合しようとしたときは、
天皇が軍の暴走を危惧して反対したのに、止めきれなかった。
同じようにミッドウエー開戦では、現場で大きな反対があり、
軍令部内部でさえ、これは無理だからやめた方がいいと、
複数の将校が強く反対したにもかかわらず、強行されている。

この事情に対し、現場将校から軍令部を問い詰める場面があり、
軍令部の将校が答えて、自分も反対したけど総長の判断で、
山本司令官がやるというならやらせてみよう!で決まったと言う。
これを聞いた現場将校は、反対するにも腹が据わっていない、
本気でダメだと思ったなら、止められたはずだと食い下がる。

まず驚くのは、こうした反省会があったという事実であり、
更に驚くには、あれだけの戦争が冷静な判断による開戦でなく、
それぞれの部署における官僚的な縦割り感覚の帰結だったこと。
多くの将校さえ、あの戦争を勝てるとは思っていなかったのに、
それがずるすると、開戦に引き込まれていく事情を知ると、
腹立たしいと共に、今も変わらないこの国の政治を憂います。

当時も今も、この国の政治は機能や成果ばかり追い求めて、
国民をどのような社会へ導こうとするかの思想が無さ過ぎます。
一方では、カネの亡者のような党首が景気回復ばかり唱えて、
それに対立する党首も、どんな社会を目指すのか見えてこない。
幸いなことに、今は他国と戦争をするほどの軍備がないから、
開戦の心配はないけど、やがてチャンスさえあれば軍備を整え、
同じ道へ進もうとすることは、安倍内閣が示していました。

何という、理想のない、その場の場当たり対応の国なのか?
その帰結として、今も苦しんでいる大勢の人々がいるのに、
役人たちは、いつまでも自分たちの保身しか考えないのか?
そうでないことを期待したいけど、現実に接していると、
自分はそう思いながら、個人的判断では何も出来ない人ばかり。
あるいは「そう思う」ことさえ、パフォーマンスなのか?

この番組は、昨夜が第一回で、更に今日、明日と続きます。
これから更にどんな話が聞けるのか、興味深いのですが、
あの戦争で犠牲になった、多くの人の無念さを思えば、
くり返さないためには何が必要か、考えなければなりません。
その一つの答えは、間違いなく市民活動だと思うのですが・・・