マネー資本主義 第2回

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前回の第1回は
「“暴走”はなぜ止められなかったのか ~アメリ投資銀行の興亡~」
http://blogs.yahoo.co.jp/isop18/58520215.html
と題して、ここ30年間に起きた金融債権の正体を暴きましたが、
今回の第2回は、
「“超金余り”はなぜ起きたのか? ~カリスマ指導者たちの誤算~」
と題して、ここ15年間に起きた金融界の“謎”とその正体を暴きます。

ここで言うカリスマ指導者とは、前FRB議長グリーンスパンと、
元財務長官のロバート・ルービンを指していると言っていいでしょう。
まずこのあまりにも有名な、アラン・グリーンスパンを確認しておくと、
1987年から2006年までの20年間に渡って、FRB議長を務め、
アメリカ経済の黄金時代を築いた、金融の神様と言われた人物です。

彼は80年代から90年代にかけて、巧みな金融政策で経済を安定させ、
何度も不況を克服して、好景気をもたらしたことで、信任を得ていました。
しかし90年代半ばには、クリントンのドル安容認の製造業支援で、
ドル下落に歯止めが掛からなくなったときに、財務長官だったルービンは、
日本などの外国と為替に共同介入することによって、ドル高を誘導する。

誘導されたドル高で、海外からアメリカに大量の資金が流れ込む仕組みは、
ルービンが財務長官をやめた1999以降も続き、これが好景気を押し上げる。
この二人によって牽引されたアメリカ経済の好景気は、2005年まで続き、
その間に、コントロールできない大量のマネーが蓄積されていったのです。

2005年に、ようやく異常に気付いたグリーンスパン金利を上げます。
しかしいくら銀行への金利を上げても、マネーの動きは押さえられず、
金融市場はさらなる膨張を続けて、今までとは違う状況が起きていたのです。
それもそのはずで、アメリカが金利を上げると日米の金利差が大きくなり、
この時期に広まったFX取引により、大量の円がドルに変えられていきました。
円を借りて、その円でドル預金をすれば、元手がなくても差益が得られる!

「円キャリー・トレード」と呼ばれたこの取引で、膨大な資金が流れ込み、
アメリカ市場は、FRB金利を上げても押さえられなくなっていたのです。
かくして不良債権までに高額の値が付けられて、膨大なバブル経済が進行し、
サブプライム問題として発覚したときは、もう手の施しようがなかったのです。
つまり外見上はアメリカからの経済不況と言われる、現在の世界経済不況は、
アメリカだけで作ったものではなく、日本も一緒に作っていたのです。

こうして日本にも大量のFXバブル・リッチが登場して、経済不況になり、
今までの常識では考えられなかったような、経済格差が出来てしまいました。
変わらない給料でせっせと働いていた人は、相対的に貧乏になった上に、
経済不況によって仕事まで失い、わけがわからないまま貧困に落ちてしまう。
そしてパソコンに向かって金融マネーを追い求めた人たちが、富裕層になった。

番組では、ここまで現実を暴いた上で、ドラマ仕立てのセリフがあります。
濡れ手に粟の大金を、「拾ったのだから悪くない」と言う主婦に対して、
「私達もバブルに荷担していたのではないか」と述懐する捜査主任。
それは単に、金融マネーでバブル・リッチになった富裕層ばかりでなく、
僕には、あらゆるものをお金換算で見るようになった現代社会に対して、
これでいいのか?と問い掛けているように思われました。


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