瀕死の珊瑚礁

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人類はどうして、
ときに魅力的な姿を見せながら、
こんなにも愚かなのだろう。

僕は学生の頃に珊瑚礁の美しさに惹かれ、
毎年夏には沖縄の離島へ行って、
海を潜り歩くのを楽しみにしてきた。

いたる場所の砂浜や海岸から、
太陽に火照った体を滑る込ませると、
すぐに色鮮やかな熱帯魚が迎えてくれて、
その先には様々なサンゴが広がる。

珊瑚礁の豊かさに守られて、
たくさんの貝やタコが捕れたし
釣り糸を垂れれば必ず釣果があった。

何百年も掛けて作られたこの豊かさは、
やがて人間の経済開発によって破壊され、
アスファルトの道路と鉄の車によって、
あらゆる毒と有害物が持ち込まれる。

農業振興の土壌改良で赤土が浜を覆い、
生活排水や農薬で大量の生き物が殺されると、
生態系が壊れて大量のオニヒトデが発生。

それでもまだこの段階までは、
なにか解決策はありそうだったのに、
今度は地球規模での気象大混乱によって、
いよいよ生き延びる道がふさがれる。

エコをうたい文句にした燃料のために、
スマトラの森林が失われるに従い、
絶滅に追い込まれるトラは反乱を起こす。

だけどトラのような大きな牙もない、
あがらう術のない小さな生き物たちは、
人間の欲で大量虐殺されて消えていくのみで、
それが海の中では誰にも気付かれもしない。

大きなビルを建てて高速交通網を整備して、
世界中の役に立ちそうなものをお金に換えて、
それがすべて命殲滅への投資なのだ。

だけどこの馬鹿げた社会の価値観は、
決して人間の本質ではなく作られたもので、
違う方向へ舵を取ることは可能なのに、
経済中毒の人々は正常な判断が出来ない。

それでも少なくない人々は、
自らの病理と本来の幸福に気付き、
今も真剣に自分の生き方を問い直している。

あなたはどうか?


写真は、数年前に石垣島珊瑚礁で撮ったものですが、
こうした姿さえ、近年激減しているのです。