環境と風水

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富山国際大学現代社会学部環境デザイン専攻の公開講座として、
環境と風水をテーマにした「環境デザインへの招待」がありました。
富山国際大学の浦山研究所を中心に、中部大学や(財)東方研究会から、
風水最先端の研究をされている方々の、珍しい連続講演がメインです。
都市の環境デザインに関して、以前から大いに関心を持っていたので、
これが風水とどう結びつき、どんな関係があるのか知りたかったのです。

まず中部大学・渋谷教授の基調講演「東アジアの風水環境学の視点」では、
僕らが漠然と考えている日本型の風水は、方位判断の理方が中心だけど、
元々の風水にはもう一つ、形方として地形判断をするものがあって、
今でも風水の考えが盛んな韓国では、この地形判断が中心であること。
風水には、①とらえる、②えらぶ、③なおす、の三つの役割があって、
主に陰宅=墓、陽宅=家、陽基=都市、に関しての判断材料にするため、
地形を気の流れに見立てて、龍脈を探り、良形を求めるのだそうです。

次ぎに(財)東方研究会・鈴木研究員の講演では「平安京は風水都市か?」
と題して、現代人が漠然と思い込んでいる青龍=鴨川、朱雀=字朱雀、
白虎=木嶋大路、玄武=船岡山、に対して時代考証から異議を唱えます。
平安初期における風水は、古いタイプの風水・蔵風得水によるもので、
三方を山に囲まれ、残る一方に水が流れて行く場所を良しとしたようです。
それ故に主要建造物の並びも左右対称ではなく、龍脈として曲がりくねり、
四神相応で読み解くのは、後生の人がこじつけたのではないかというのです。

最後に中部大学の山本準教授が、韓国における風水の重要性として、
ソウル市内の重要な建物が山脈の延長上にあって、気を招いていることや、
近年まで蓋をされていた、チョンゲチョン川を復活させた理由など、
風水による判断が、今でも色濃く影響していることを指摘されました。
この風水の考え方は、韓国における教育課程においても教えるそうです。
そしてこの場合も、三方を山として龍脈の流れを大切にするのが基本で、
この龍脈を守るために、白頭大幹保存法という法律まであるそうです。

講演後に質疑応答があり、富山国際大学現代社会学部長の北野さんが、
日本は韓国や中国ほど自然が過酷でないので、重要視されなかったのでは?
と考えを述べられ、国情や文化の違いなども考えさせられました。
ただ今回参加したことによって、漠然としていた風水の意味がわかり、
龍脈としての気の流れが、方位判断や地形判断をさせるのだとわかったので、
これから自然を見る時は、少し違う視点でも姿を見られるかも知れません。