ホンダの決断

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ホンダが、F1レースから離脱すると発表されました。
いかにも新しい時代を見越しての、決断だったと思われます。

僕自身が日本で初めて車を買ったのは、初代プレリュードで、
バイクと並んで走るプレリュードの姿に憧れた記憶があります。
今思えば、1800ccの小さな車でしたが、車高が低いデザインで、
ホンダがF1レースで、無敵の大活躍をしていた時期でもあり、
アイルトン・セナマクラーレン・ホンダは夢の世界でした。

その後ホンダはF1活動を休止して、セナはルノーに移籍。
僕はF1への興味を失いますが、プレリュードに乗り続け、
会社を辞めて田舎暮らしを始めるまで、同じ車種でした。

1994年、セナはイモラ・サーキットで事故死をします。
ちょうど龍村監督が、自分の映画で彼を取り上げようとして、
様々なアプローチをしていた年だったとかで、後日談として、
人間の限界に挑む、スピードの世界で垣間見るものの話を聞き、
人類は何処へ向かおうとしているのか?と考えました。

より早く、より巧妙に、より神経質になっていく社会を見る時、
人間の豊かさとは何かを考えると、何か間違っている気がする。
いや、間違っていると言うよりは、一つの時代が終わった!って、
そんな気持ちになったことも、会社を辞めるきっかけだったのです。

ホンダの車も、ステップワゴンに見る家族向けが主流となって、
プレリュードのようなラグジュアリー・スポーツは時代遅れとなり、
僕は田舎へ引っ越すと同時に、軽四のワゴンRに乗り変えます。
ホンダのバモスも候補でしたが、四駆の値段が高かったのかな?
燃費などの実用性からも、躊躇なくワゴンRを選びました。

それから8年が過ぎて、ワゴンRの燃費は23キロ/Lとなり、
トヨタハイブリッド車に、遅れは取ったと言いながらも、
ホンダ車だって、燃費の良さが世界中で定評になっています。
この先も人々が求めるのは、高速よりも環境負荷の低減でしょう。
こうした価値観の流れの中で、もうF1は過去の栄光なのです。
未来志向で考えれば、F1からの撤退は当然だったでしょう。
僕から見れば、再参加したことが判断の誤りだったのです。

自動車業界ばかりでなく、あらゆる産業が価値観の転換を受け入れ、
環境負荷の少ない、循環型社会に相応しく変身していく必要がある。
それをこの不況に決断したのは、遅いながらも良い判断だったと思う。
車の高速性能や、高速交通網の整備など、もう過去の遺物になる、
そう判断した時から、新しい舵取りが始まっているのでしょう。

次にホンダは何を始めるのか? この選択によって、
新しいホンダの将来が決まってくるでしょうし、
日本企業全体の方向も、占われていくような気がします。
表面上どう発表されようと、単なる営業不振ではないでしょう。