源氏物語千年紀・記念朗読会

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奇しくも、このブログの千件目の記事は、
源氏物語千年紀を記念した、朗読会の報告です。

僕自身は2年前から参加している、源氏物語勉強会で、
今年は千年紀だから何かやりたいね!と言うことになり、
ゆかりの地へのツアーと、朗読会が催されることになりました。
僕はツアーには参加出来ないので、朗読会にだけ参加しました。

この千年紀のことは、知らない人も多いと思いますので、
説明しますと、歴史上の書物で初めて源氏物語が登場した日。
作者である紫式部の日記の中に、次のような記述があります。

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左衛門の督「あなかしこ、このわたりに、わかむらさきやさぶらふ」
とうかがいたまふ。源氏にかかるべき人も見えたまはぬに、
かのうえは、まいていかでものしたまはむ、と聞きゐたり。
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これは紫式部が仕えていた、藤原道長の娘で一条天皇中宮であった
彰子が、男の子を産んで50日目のお祝いの席に参列したときの事。

左衛門の督が酒席のたわごとに、紫式部がいるのを知って、
「失礼ですが、このあたりに若紫はいらっしゃるのでしょうか」
と言うのを聞いて、日記の中に書き残したのが、
源氏物語に関わりありそうなほどの人もいらっしゃらないのに、
ましてあの紫の上などがどうしてここにいらっしゃるものですか~
とあり、これが1008年11月1日なのです。

なかなかきつ~いやりこめですが、紫式部はこれを席上では言わず、
後に日記に書いたので、初めて日付と共に記述される事になりました。
紫式部の才能と、人前が苦手だった性格も現れていて面白いですね。

谷口先生を含めて8人のメンバーが、源氏物語「桐壺」の全文を、
ちょうど1時間をかけて、順次手分けして朗読したのですが、
皆さんここぞとばかり練習された成果も見えて、すばらしい会でした。

散居村ミュージアムの和室をお借りして、絵や和歌や花の展示もして、
殺風景な普段の勉強会とは違う、華やかな雰囲気の中で朗読をする。
ちょうど陽射しが縁側から差し込んで、暖かい陽気も気持ちよく、
お弁当を食べながらのお話も、楽しい一日になりました。

ほんのここ50年や100年の、自然破壊までする文化とは違う、
まったく別の価値観による社会があったことを、思いやるだけで、
これからの新しい社会の価値観に寄与するものもあると思う。
そんなことを考えながら、千年紀の一日を終えました。