メディカル ツーリズム

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マイケル・ムーア監督の「シッコ」を見ると、
アメリカの医療保険に対する不信が描かれていました。
保険に入っていても必要になる、高額な治療費のために、
今では、海外に行って治療を受ける人が増えている。
これをメディカル・ツーリズムと言うそうです。

最近では日本でも、移植手術や最先端治療を求めて、
海外へ行く人がいる、これもメディカルツーリズムでしょう。
具体的にどんなもので、どんなメリットがあるのか?
日本で問題になっている極端な医師不足とは、繋がるのか?
医師の過酷な労働や、医療事故との関係はあるのか?

国民皆保険の日本では、アメリカとは事情も違いますが、
ジョセフ・ウッドマンが書いて、斉尾武郎の監訳により、
医薬経済社から出された「メディカル ツーリズム」には、
パート1に、初心者に対する様々な注意事項が書いてあり、
パート2は、具体的な国と受けられるサービス情報でした。

読み始めたパート1では、同じ注意がくり返し出てきて、
もう少しうまくまとめて編集して欲しい気もしましたが、
メディカル・ツーリズムの臨場感はあった気がします。
パート2では、具体的な国別の情報が満載されていますが、
内容はアメリカ人向けで、日本人には参考にしかなりません。

著者は、日本の医療機関もJCI認証を取るべきだと言いますが、
この認証はアメリカ人向きで、果たして日本人に必要なのか?
最近話題の「メディカル・ツーリズム」が題名の本であり、
アメリカの事情を知る参考資料としてなら、お勧めするけど、
日本の医療問題には、もう少し違う観点が必要な気がします。

本を読み終わって感じるのは、アメリカと日本の違いであって、
福祉としての医療や、国民皆保険を実現している日本では、
特殊な治療以外は、国内の身近な医療機関での治療が望ましい。
おカネ経済中心の資本主義社会を超えて、次のステップには、
安心して暮らせる共生を目指す、それが日本だと思うのです。

メディカル・ツーリズムのハウツウ本など、参考にとどめて、
この国の長所である福祉医療を充実させる政策を進めて欲しい。
軍備や公共事業に使うお金があるなら、福祉や医療に使って、
安心して暮らせる日常を作る方が、優先されると思うのです。



ジョセフ・ウッドマンの著書「メディカル ツーリズム」は(↓)こちら。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4902968193?ie=UTF8&tag=isobehon-22