政界のおとぎ話

第一話では、
政治とは無縁だった、天体観測好きの小学校教諭が、
国会議員だった父の急死で、補欠選挙に立候補することになる。
街頭演説で父の収賄を認める発言をして、落選かと思われたのに、
多くの市民が、その誠実さを支持して投票したので、当選する。

第二話では、
偶然マスコミが取材したことから、国会王子ともてはやされ、
彼は朴訥な話しぶりながら、誠実さが滲み出て人気者になっていく。
その人気に目をつけた政界の実力者が、首相の辞職を受けて、
彼を次期首相に立候補させる手筈を整える。

第三話では、
周囲の人から、総裁選出馬を説得されて立候補した彼は、
当初誰からも本気で相手にされていなかったのに、演説や討論会で、
国民と同じ視点で政治をすると訴えて、支持を急速に広げていく。
その結果、国会の中でも雪崩を打って支持者が増え、総裁になる。

そして昨夜の第四話では、
彼を次期首相にして、自分が実権を握ろうと企んだ実力者が、
彼の意志に関係なく、新内閣の顔ぶれを決めてしまうけど、
そんな中でも国民の視線を忘れないで、是非を判断する彼の人柄に、
周囲の多くの人が魅力を感じて、ついに彼流の政治が動き出す。


これは、ご存知フジテレビ系列のドラマ「CHANGE」の話ですが、
ドラマとしてはもう一本、毎週見ている「篤姫」に続いて、
視聴率が2番目に高い、人気番組となっています。
内容はあまりにも単純化されていて、現実離れしているけど、
それでも見たくなる、政治に対する疑問や歯がゆさが蹴飛ばされて、
こんな風に政治が行われたらどんなにいいだろうか!と思わせる、
興味津々の、大人のおとぎ話に仕上がっているのです。

政治なんてどこかのタヌキ親爺の専売特許!と思っている人に、
このドラマはテンポ良く大人の夢物語を見せてくれるので、
「そんなはずないだろう!」とわかっているようなことまで、
もしかしたら、可能性はあるのかもしれない!と思わせてくれる。
このドラマのシチュエーションや、登場人物の名前など、
現実をもじって使われていることが多いのも、遊び心が面白い。
深読みを出来る要素をうまく配して、マニアックな一面もある。

脚本を書いたのは、「HERO」の福田靖さんで、
「ほんとにあった怖い話」の藤田博幸さんがプロデュース。
いつのまにか話が始まっている!って冒険的な立ち上がり方や、
マドンナが主題歌を歌っていることからも、熱が伝わってきます。
ここまで単純化された話は、まじめに考えるとバカバカしい面もある。
だけどそれでも、このドラマには確かに人の心を捉える要素がある。
その要素とは何か?と考えると、現実の政界を映してもいるのです。

こんな子供だましのような物語では、政界の何も伝わらない!
と言うなら、今の政界に対する人々の心がわかっていないのでしょう。
現実の政治は、このドラマ以下のレベルで利権が絡んでおり、
誰もそれをどうにも出来ない、閉塞状態にあるのではないか?
そう考えるとき、問題を単純化してみせるこのドラマは価値がある。
中村敦夫のセリフに、彼の届かなかった想いまで感じるのです!
木村拓哉は、時代劇よりもこうした役の方が似合っているしね♪


中村敦夫さんの「国会物語―たったひとりの正規軍」は、(↓)こちら。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4891882972?ie=UTF8&tag=isobehon-22