混乱する聖火リレー

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先月から始まった、中国でのチベット人の暴動に端を発して、
オリンピックの聖火リレーが、大変なことになっているようです。
イギリスでは、厳重な警戒態勢の中で聖火を奪おうとする人、
チベットの旗を掲げてテレビカメラの前に飛び出す人、
そして聖火を消そうとして消化器を噴射する人まで出てきて、
とても正常な聖火リレーとは言えない状況になっていました。
実に37人もの逮捕、拘束者が出たと伝えられています。

さらに次のフランスのパリでは、400人の護衛付きになって、
テレビカメラでさえ、聖火やランナーがが全く見えないうえに、
途中で聖火が消えたり、大型バスに乗って移動したりしています。
パリ市長は、「パリは世界の人権を擁護する」と表明して、
そのフレーズの横断幕を、市庁舎の前面に堂々と掲げている。
IOCの代表は、阻止活動を非難しながらも意思表示は否定せず、
サルコジ大統領は、市民の抗議に臆したか姿を現さない。
彼は中国と大きな取引をしているので、刺激したくないのです。

このチベット問題が、北京オリンピックのネックになることは、
既に以前から言われてきたことであり、開催一年前の記念日には、
ある北京通の学者が、無事に開催できるかどうか懸念していた。
そこへこの騒動ですから、たとえばダライ・ラマのような、
特定の人物が仕掛けたと言うよりも、潜在的に大きな流れが、
全体として、こんにちの騒乱を引き起こしていると見るべきです。
そのくらい、チベット問題の流れは伏流が大きくて強いのです。

このあとアメリカを走る時も、たぶん抗議行動は起きるだろうし、
それが終わっても、最大の難関と思われるインドがあります。
チベット人の多いインドでの抗議活動が、どのようになるのか、
インドの当局者は管理しきれないと考え、聖火リレーの走路を、
大幅に縮小して、ともかく走った事実だけを作ろうとしています。
そしてオーストラリアを経由して、日本の長野にも来ますが、
人権意識の薄い日本では、それほど激しい抗議はないでしょう。
世界的に見れば、日本は典型的な役人管理国家ですからね。

もしも日本に政治家がいれば、この機を使って中国を支持し、
国連での活動をしやすくする、基盤作りが出来るかもしれない。
だけど現状では、目先の利益とアメリカの意向しか考えないのか、
少なくとも表面は、そんな外交をしているようにも見えません。
お役人根性そのままに、無事に通過させて一安心するのが、
マスコミや学者まで含めて、国民の総意とされるのでしょう。
人権でも国家の威信でもなく、何でもそつなくこなすのです。


さて、もう一度世界に目を向けて考えると、この騒乱を利用して、
何処かで余計な企みが進行していないか、そちらの方が心配です。


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