金田一秀穂さん講演会

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南砺市民大学講座・なんと市民学遊塾閉校式の催しとして、
井波総合文化センターで、金田一秀穂さんの講演がありました。
演題は「心地よい日本語」ってことで、最近の日本語の話です。

まずは「正しい日本語」として、NHKアナウンサーを取り上げ、
彼らの話し言葉は確かに正しいけれど、日常生活には合わない。
会社から家に帰れば、家族の親しみのある言葉遣いが大切だし、
災害地の被災者には、思いやりのある丁寧な言葉遣いが求められる。
そうした状況に合わせて話すことが、正しい日本語だって事でした。

また同じ日本語でも、時代と共に使われ方が変わるものもあって、
「だらしない」って言葉は、元々は「しだらない」って言葉だった。
そう聞くと、なるほど「ふしだら」は「不しだら」だとわかるし、
「しだら」は梵語の「修多羅」(秩序の意)と言うのも了解できます。
一つの日常語を理解しようとすれば、梵語にまで繋がるんですね。

また最近の若者言葉として、やたら縮めて使うのを批判されるけど、
言葉を縮めて使うのは、昔から日本文化の中ではよくあることだった。
だから「ありがとうございました」を「ありっした」と言うのも、
本来は、かならずしも批判されるには当たらないと言うわけです。
「こんにちは」が「ちは」に、「いらっしゃいませ」が「しゃい」に、
僕らは日常的に、こうした縮め言葉を使っているというわけです。

さらに現代人は、むかしの人に比べてコミュニケーション能力が高い。
人の気持ちを先読みして言葉を掛けたり、引いたりしていると言うのも、
微妙に傷つきやすい世代と言われているのと、繋がる気がします。
古い男性像のように、「黙って○○!」なんてのは、もう通じません。
しっかりと自分の考えを表現できる人が、求められてもいるのです。

また最近笑いのネタにされることの多い、コンビニ言葉についても、
彼は、ぶっきらぼうな言葉でもない、丁寧すぎることもない、
その中間にあって、誰にでも使える言葉だと位置づけるのもさすがです。
そうして話を聞いていると、秀穂さんは昔ながらの学者ってよりも、
噺家かタレントのように、次々によくお話をされる人でした。

そりゃあ講演に来ているのですから、話してもらわないと困りますけど、
彼の話には良くも悪くも、人を楽しませる要素がふんだんにあるのです。
その言葉に対する気持ち自体が、心地よい日本語を生んでいるので、
まさしく今日のテーマは、実践によって示されたと言えるでしょう。
パチパチパチ!


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