品川正治氏の講演会

イメージ 1

福田・小沢の党首会談で、自民党民主党の大連合のような話がありましたが、
政治家はいい加減に、権力ではなく国民の方を向いてもらいたいものです。

さて昨夜は、元経済同友会副代表幹事、品川正治氏の講演会があったので、
ウイングウイング祭で朗読会を済ませたあと、高岡駅から電車で行ってきました。
電車に乗るのも久しぶりですが、往復640円は僕にとって安くないですねえ。
それでも品川さんの講演は、以前から一度は聞いてみたいと思っていたので、
会場だったCiC多目的ホールでは、最前列に座ってお話を聞きました。

彼はすでに高齢で、この先長くないと感じながらのお話とお見受けしました。
それは明らかに、これだけは言っておかなければならない!と言うような、
彼の深い思いを背負った言葉が次々に飛び出してくる、貴重な時間でした。

まず彼は、自分が育った時代の学生がどんな状態だったかを話されました。
彼自身も学業半ばで招集され、2週間後には中国の戦線に送られると、
すぐに最前線に立ち、手榴弾を運ぶ役割で戦闘に参加したそうです。
その戦闘で戦死した仲間もおり、また自らも意識を失う負傷もしておられる。
しかも、8月15日を過ぎても、11月まで共産軍と闘わさせられた話は、
映画「蟻の兵隊」に描かれた戦争そのものだったとのことなのです。

春になって、ようやく復員船に乗って帰国した時、まだ上陸待機中の船の中で、
品川さんは初めて、今の日本国憲法草案に出会い、生きる希望を持ったそうです。
それは、戦争に負けたことを恥として政府を批判し、汚名を濯ごうとするのではなく、
もう二度と戦争をしない!とする、国民の視線による終戦を宣言していたからです。
そこで彼は「戦争をするのも人間なら、それを止めるのも人間だ!」と知るのです。

戦後の経済成長を、経済界のリーダーの一人として生きて来られた人ですが、
彼は「成長したらみんなで分け合うのが日本型」として、小泉・竹中路線以来の、
資本利益や金融優先の、アメリカ型市場原理主義を痛烈に批判していきます。
竹中氏の規制緩和は、人々に必要な権力からの自由ではなく、権力への自由だとして、
この政策は国民のためのものではない、資本家のための政策になったと指摘します。
そして、国民の視線、命の視線を忘れた、ここ数年の政策を批判するのです。

彼の話はとても説得力があり、多くの人の共感を得たことは間違いないのですが、
その中から僕は、「戦争を体験談としてだけではなく、どう伝えるかだ」として、
戦争の正体を次の三つに要約されていたのを、ここに書いておきます。
その(1)、戦争になると価値観が転倒して、勝つためには人権や命までが犠牲になる。
その(2)、戦争は学問や教育まで動員して、自然科学ばかりか人文科学まで偏向される。
その(3)、戦争を指導する部門が全権を掌握して、三権分立などなくなってしまう。

こうした事態を避けるためには、そうなる前に市民がそれを阻止しなければなりません。
一度そうなってしまえば、破滅するまで突き進むのが戦争というものでしょう。
今や政治の舵取りは、経済優先の市場原理主義や資本家の利益に牛耳られている。
けれど、そのような成長ではなく、みんなで利益を分け合う成長こそ日本型なのです。
せっかく育てたこのユニークさを放棄して、アメリカに同調するのではなく、
今こそ日本国憲法にある「二度と戦争はしない」誓いを、自ら再確認して、
新しい未来の基礎にしなければならない!と、そんなお話だったと受け止めました。

戦争は経済によってもたらされるとしても、それを決めるのは人間なのです。
アメリカ型の市場原理主義によっては避けられない戦争も、日本で育てた日本型の、
みんなのために利益を分け合う社会を育てることで避けられるものなのだ!と、
彼の話は、経済人として、経済の在り方を問いただすものだったのだと思います。


品川正治さんの「9条がつくる脱アメリカ型国家」は、(↓)こちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4862280072?ie=UTF8&tag=isobehon-22