李 康錫(イ カンソク)の作品

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いなみ国際木彫刻キャンプも、いよいよ明日までとなりました。
このところ毎日雨が降っているので、屋外の木彫刻は大変でしょう。
いくら足場や雨除けテントが用意されてあっても、場所によっては、
もとが斜面の足場に土砂が流れ込んでくるところもありそうです。
そんな中で、どのような出来上がりになっているのか見に行きました。

すでに出来上がった作品だけを残して、誰もいなくなっている所もあれば、
まだ製作が終わらずに、最後の仕上げに追われている人もいました。
僕は会場内を一通り見て回ったのですが、一番心を惹かれたのは、
やっぱり前回と同じ、大韓民国の李 康錫(イ カンソク)の作品でした。
出来上がった米五粒の作品は、ちょうど風神の前に置かれていい感じ!

僕がテントを覗いたときには、李さんはインタビューを受けていて、
「言葉が通じなくて、あまり会話できなかったのが残念」と答えていました。
それでも、食事が美味しいので、来たときよりも太ってしまった!とか、
今回の来日はとても好印象だったようで、すでに出来上がった作品を横に、
もう少し小さな米?をいくつも並べて作っている手を休めませんでした。

僕がどうしてこの人の作品に惹かれたのか?と考えてみれば、
ただひたすら手彫りで米を作り続けている、手法そのものにも惹かれ、
その態度をもって、米の貿易自由化に異議を唱える一貫した姿が、
掘り出された作品にもしっかり表現されているように思ったからです。
きれい事ではない、生の命が持つリアルな存在感を感じたからです。

美しさとは何なんでしょうか? その答えはいろいろでしょうが、
僕はただ象徴的な美のアフロディーテや作り物では納得できなくて、
人間が作る美は、人間の実生活に深く根ざしたところから生まれるのが、
本当の在るべき姿ではないかと、彼の作品を見て思わされたのです。
そのように新たな何かを実感させてくれる作品は、この一点だったのです。

明日はフィナーレの日で、参加国の料理ブースなども用意されるようですが、
僕は朗読会の集まりに出掛けるので、残念ながら行くことは出来ません。
それでも、4年に一度のこの催しが、大成功のうちに幕を閉じて、
また2011年には、新たに市民の手で開催されることを祈っています。
制作者の皆さん、スタッフの皆さん、ありがとうございました!