六月の海中は大騒ぎ!

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先日テレビで、石垣島の海が赤く染まっているのを映していました。
大潮で一斉に産卵した珊瑚の卵が、大量に漂って海を赤く染めたのです。
沖縄の海では、六月の夏至に向かう頃、海中がにわかに騒がしくなります。
珊瑚礁の海の中は、産卵された珊瑚の卵で濁って透明度が悪くなるほどで、
こんな季節には、群れなす魚の多くも産卵のために集まってきます。

この写真は、リーフエッジに陣取って深みを泳ぐ魚群を撮ったものですが、
この時期の大潮には、大量の珊瑚卵に誘われて、魚も活発になるのでしょう。
グルクマ、グルクン、ツムブリなど、リーフエッジすぐ傍を泳いでいきます。
そしてほんのわずか沖合の深みでは、こうした魚たちはさらに大量に集まり、
全身をふるわせ、旋回しながら水面に向かって激しく上がっていくのです。

僕は近くの岩場で、息の続く限り何度も潜ってその様子を見ていました。
グルクマの群の時は、数百の個体が一斉に一箇所に向かって集まると、
その勢いを加速させて、海面に向かって渦巻くように登っていくのです。
その身を激しく震わせて上るときに、魚たちは射精しているのでしょう。
近くで雌が受精卵を産卵しているのは、間違いないのだと思います。

産卵された卵は他の魚の餌にもなるので、勢い様々な魚が集まってきます。
こんどはそれを見ているのが面白くなって、また何度も潜って岩につかまる。
岩につかまってじっと魚たちを見ていると、時々鮫もやってきて視線が合う。
視線が合うと意識し合ってしまうので、お互いに知らないそぶりで様子を見る。
こっちは息をしに上がらなければならないので、なるべく浅瀬に移動する。

次々に魚が現れて、こんな冒険が出来るのも、六月の海の楽しみです。
夏至が過ぎると、海は次第に落ち着きを取りもどし、夏枯れの静けさになる。
魚たちも暑すぎる浅瀬を嫌って何処かへ行ってしまい、静かな海になるのです。
今年も夏至まで後しばらく。珊瑚礁の海は、今が一番賑やかな季節です。


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