親孝行プロジェクト

久しぶりに新鮮なバラエティ番組を見ました。
格闘家の吉田秀彦、お笑いタレントの品川祐
女優の三原じゅん子の三人が、それぞれ一泊二日、
普段は疎遠の自分の親に親孝行をする企画です。
たぶん誰にとっても、親孝行ってなんだか恥ずかしい。
だけど心のどこかでは、親孝行をしたいと思っている。
そんな、うれしはずかしい感じが、よく出ていたのです。

小さい頃の子供にとって、親は神様と同じです。
どんな喜びも悲しみも、まず親を通して受け取っている。
親に対する反抗さえ、親から受け取ったもので生まれてくる。
そして、やがて親元を離れて自活するようになると、
その親とどう付き合っていいかわからなくなっていく。
もちろんそうでなく、親と仲良く暮らす人もいるでしょう。
でも自分が親とうまく仲良くできなかったから、
この企画と出演者が、新鮮に感じたのかもしれない。

大学を出て、就職活動もせずに旅を始めた僕は、
いつも貧乏で、滅多に実家へ帰郷もしなかったですね。
父との思い出は、帰郷して一緒に飲みに行ったときのこと。
けっこうお酒に強いつもりでいた僕が、緊張していたらしく、
すぐに悪酔いをして、具合が悪くなって吐いてしまいました。
あんまり話もできなかった事だけを覚えています。
その翌年に父は、脳溢血で倒れてしまい、後遺症もあって、
二度と一緒に飲むことは無くなってしまったのです。

母は父の看病をしながら、小さな店を切り盛りして暮らし、
父を亡くしてから、兄弟で東京へ呼んだときには来ませんでした。
当時は兄弟3人が東京にいたので、来ればよかったのですが、
母は自分が生まれ育った町を離れたくなかったのでしょう。
長年の友達と、多趣味を活かして暮らしていました。
時々は様子を身に帰郷しても、僕は何を話していいかわからない。
うまく話が合わずに、逃げるように東京へ戻っていたのです。
やがて母も不治の病で、10年前にこの世を去りました。

テレビとはいえ、誰かが慣れない親孝行をする企画を見ると、
裏方からメールで送ってくる助言が、いいなあ♪と思えてしまう。
今日の出演者もそうだったけど、もしも自分であっても、
ただ親と一緒にいるだけでは、どうしていいかわからないで、
あまり会話もないまま、気まずくその場を逃げ出したくなる。
だけど心の中では、本当は親を喜ばせたいのです。
僕らはこんな基本的なノウハウを知らな過ぎますよね。