眠れない夜の夢

春は春であるというだけで
人の心を怪しくさせる。
陽射しの暖かな野に出でて
畝を作って種をおろす。

重々しく霞が覆う天空には
見えない鳳の翼がある。
さあどうするのだ永遠の鳥よ
今年も四季は羽ばたくか!

春の毒気をたっぷりと吸い込んで、
私の頭には天空の緞帳が下りてくる。
目が熱い喉が干涸らぶ込み上げる吐き気。
思考能力を失ったまま車を転がして、
家に帰って風呂に入る食事をする。
そのまま動けなくなって寝床に入る。

真夜中に地に足の着かないものが彷徨って、
私は寝床の上に座ってそれを掴もうとする。
なぜかなぜ掴もうとするのか?
なぜ関係を持とうとしてしまうのか?

それはね寂しいからだよと声がする。
本当に?私は寂しいの?
そうじゃないんだ私じゃない
この世界のありとあらゆるものが、
寂しがって手をのばし誘惑をくり返す。
それがイヤなら最初から近づくな!

その先は闇の中
誰が誰と話をしたのか
漆黒のよるに翼を広げた鳥は
私を置き去りにして飛び立っていく
私は後を追いかけたりはしない
夢かも知れず夢でないかも知れない
こんな夜に女を抱きたいか
宇宙の中にひとり

さあでかけよう
はだかになって
むろのなかで