いじめ考

このところ様々なメディアや機会を通して、
学校におけるいじめの問題がクローズアップされています。
テレビ番組では毎日のように取り上げていますし、
先日は高岡市職員組合が主催した講演会でも、
教育基本法改正の動きを懸念する開催の挨拶とは違って、
心療内科医でもあるカウンセラー明橋大二さんの講演題目は、
「21世紀の教育のキーワード
 ~自己肯定感を育む関わりを考える」と言うものでした。

大人の境界性人格障害が学童期の心身症と深く関わっており、
学童期にすぐに対応すれば回復が早いのに、
大人になってからでは、回復に長い時間がかかるなど、
心療内科医らしい観察から捉えられた視点が新鮮でした。
開橋さんは、「いじめを無くす」みたいな話はせずに、
子どもの精神的障害の多くを、パイプの詰まりにたとえて、
失われたコミュニケーションをどのように回復するか?
と問題設定することで、詰まり具合に合わせて解説されました。

その講演内容の詳細はここでは書きませんけど、
大切なのは、そうした事態は常に起きるものであり、
起きたときにどのように対処するかを知っておけば、
将来に人格障害などの症状を起こさないで済むと話されます。
これは先日「太田総理」が番組で提案していた、
「いじめをなくそうのスローガンを禁止する」の趣旨と同じ、
いじめはあるものだと認めた上で、対処法を考える方法です。
僕もその方が実情にあっているし、有効性は高いと思うのです。

どんなきれい事を言ってみたって、現代社会はいじめだらけ。
狭い学校の世界でも上司や教育委員会との関係などで、
教育的指導とは言えないいじめは横行しています。
さらに一般企業の中でも、どんな職場でもいじめは起きるし、
政府が作る法律でさえ、弱者いじめに思えるものがあるのです。
アメリカが海外で仕掛ける戦争など、いじめとしか思えません。
明橋先生のように、自己肯定の育み方を考えると同時に、
問題は学校内だけでなく、社会全体で解決される必要がありそうです。

社会にあるいじめ体質を無くさないでいて、
学校でだけ無くそうとしても無理だと思うのです。