もう一つの世界?

「助けて!」と叫んで目が覚めた。
間違いなく声に出して叫んでいた。
サスペンスの作り話ではない。
僕は時々真夜中に寝言を言うようで、
一緒の部屋で寝ている人がいると、
そんな僕の寝言を聞くらしい。
そう教えられてはいたけど、
今夜ははっきりと叫んで目が覚めた。

状況も少しだけど覚えている。
病室のような二人部屋に遅れて入り、
先に寝ている人を起こさないように、
静かに寝床には行って間もなく、
真っ暗な部屋に将校姿の男が来て、
そっと私の首を締めはじめた。
出せない声を必死に振り絞って、
「助けて!」と叫んで目が覚めた。

目が覚めた僕はベッドの上で、
呆然と降りかかった事態を考える。
これは何かのシグナルなのか?
自分は何か無意識のダメージで、
助けを必要としているのか?
実のところよくわからない。
そして夢はあまりにもリアルだ。
世界がもう一つあるかのように。

今ここにこうして生きている自分と、
実は別の世界がもう一つあって、
その向こう側の世界で何かがある。
そう考えれば辻褄が合う気もする。
そこで何が起きているのか?
自分はいったい何をする人なのか?
為すべき役目は果たせているのか?
すっかり目覚めて僕はここにいる。