PCTOOL

なるべくお金の掛からない生活を心掛けてはいても、
歩いていけないところへは車でも出掛けるし、
冬は灯油のストーブを使い、電気だって使っている。
町中に住んでいると、炊事にガスも使ってしまうし、
電話だってインターネットだって使っている。
何もしないで暮らそうとしても多少のお金は必要で、
上下水道は使わないでは暮らせないし税金もかかる。
かくして、何らかの現金収入が必要になってくる。

まあ「なるべくお金に頼らない」を心掛けながら、
それでも必要な現金を得るための仕事もやるので、
どんな仕事をやるかも考えて選びたいと思う。
そこで同じ町にあるNPO法人PCTOOLで、
パソコン教室のお手伝いをすることがある。
このPCはパーソナル・コンピューターではなく、
パーソナル・コミュニケーションの略称だそうだ。
やっているのはパソコン教室だったりするけどね。

土地柄もあるから、生徒さんはお年寄りが多い。
公民館などを借りて開くパソコン教室に来る人は、
ほとんどが自分の仕事をリタイヤした人たちで、
あまり難しいことを覚えても使うこともなさそうだ。
だけど旧来の老人クラブ的な感覚のままでは、
もう面白くないと思っているお年寄りにとっては、
何か現代との繋がりを維持していることによって、
自由に自分を生きている楽しみを味わっているようだ。

そう言う自分も20年ほど前に仕事を選んだとき、
これからはコンピューターの時代になると思っていた。
でもね、もう、そうした何かに依存する生活は、
どこまで行っても本当の満足はないように見えてきた。
そろそろもっと生身の人間の直な五感に戻って、
直接に見る、聞く、触れる、香りを楽しむ生き方、
味わいの豊かさを楽しめる生活が大切に思えている。
PCTOOLはそのきっかけづくりに違いない。