Yさんの除雪作業

新しい時代を考えるからと言って、
今までの人の生活が否定されるわけじゃない。
どんな時代にも、いい人はいい人だったし、
見習いたい行動を自然にやってのける人はいるもんだ。
僕の家の斜め向かいのYさんもそんな人だ。

Yさんは、僕の兄の同級生だったMちゃんのお婿さんで、
僕が小さいときには、この町内にいなかった人だけど、
今ではすっかりこの町の古参として顔も広い。
すぐに恐い顔をしたり憎まれ口を叩いたりするので、
最初はちょっと取っつきにくい感じもしたものだ。
でもMちゃんと結婚して、お婆ちゃんも大切にしている。
これがまあ、ご近所の信頼関係というものだろう。

そんな町内のYさんはもう還暦を過ぎてお孫さんがいる。
すでに自分の仕事は退職して、家にいることが多いのだけど、
僕がゴミ当番のネットをしまい忘れたりしていると、
黙って片付けておいてくれるし、文句は何も言わない。
そして今年は、この大雪の除雪作業で大活躍している。
町内のどこへでも出向いていって、除雪を手伝っているのだ。
除雪の手がたりない家の前を黙って片付けてくれている。

僕も家の大屋根の雪を一旦路上に落として片付けたときに、
一人で黙々と片付けていたら、何も言わずに手伝ってくれた。
Yさんは、一見口も悪いし見た目もただの田舎親爺だ。
何一つ立派なことを言うわけでもない、むしろ口は悪いのに、
実際にやっていることはとても優しくて美しい。
新しい時代がどんなだろうと、こうした姿は見習いたい。
自由自在に人を助けられる人になりたいものだ♪