肩書きは「人間」です。

NHKで「知るを楽しむ」の再放送を見ていたら、
石井竜也岡本太郎の人物像を紹介していた。
大阪万博太陽の塔で一躍有名になった芸術家だけど、
戦争前から戦後にかけての履歴を見ていると、
戦争期を過ごした強い歴史性を感じないではいられない。

芸術が何であるかを、彼ほど強く意識して、
多くの人に伝えられた人物は数少ないだろう。
人生と芸術がどう関わるのかを教えてくれたのも、
僕にとっては岡本太郎が最初だったように思う。
彼を紹介するエピソードの中で、気に入った話がある。

あれほどの人だから、どんな肩書きでも付けられただろうに、
自分の肩書きを聞かれたときに、「人間です」と答えたそうだ。
いつもそうでなくても、実際にそう答えたことがあるのだろう。
こうしたエピソードが残っているところに意味があるし、
僕らにもおおいに伝わってくるものがある。

僕はいつも自分には何も肩書きがないと言っていたけど、
そうした表現よりも「自分の肩書きは人間だ」と表現する方が、
よほどしっかりと伝わってくるものがあるだろう。
これはそう、僕もちょうだいして使わせていただこう。
今日から僕の肩書きは「人間」です。