ママ手作り

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僕の妻は、もしかしたら変わり者かもしれません。
なにしろ30歳も年が違う男性と、恋愛結婚したのですから、
その時点で十分に変わり者、と言われるでしょうか。
だけど僕にしてみても、彼女が若いから結婚したわけではなく、
人生に対する何かを、共有できそうだから結婚したのです。

僕が彼女と知り合ったときに、自分は自然農をやっている、
と自己紹介したら、彼女も興味があるので教えて欲しいと言った。
自然農の考え方からノウハウを、少しづつ教えていくと、
彼女は不思議なほどに早く吸収して、熱心になっていったのです。
それは現代の効率を重視する価値観とは違う、手作り感のようなもので、
農作物だけでなく、様々な生活品を手作りしようとする。

結婚して子を産むときも、病院をいやがって自宅出産でしたし、
子育ても完全母乳で、ミルクも牛乳も使いませんでした。
僕は彼女が無理をしないように、必要なら医者もミルクも、
使えば良いと思っていたのに、彼女の意思で使わなかったのです。
おかげで健康そのものに姫は育ち、多少の熱でもトラブルでも、
僕が寝ずの世話をしてでも、自然治癒を目指して子育てをしています。

僕が考えに考えて、お金に頼りすぎない暮らしをするためには、
なるべく必要なものは手作りする、と決めて暮らしています。
ところが彼女は、僕とは少し違う生物的な感覚で手作りをするので、
ときには効率が悪くて、イライラすることもあります。
つまり僕の方が、現代病のような効率に縛られていることを、
彼女の行動から思い知らされ、否応なく反省することが多いのです。

そして今では、米作りこそ僕が中心になってやっていますが、
畑の方は彼女が中心で、僕の知らない野菜もたくさん植えている。
家の中を見れば、姫の遊び道具もママ手作りが増えていて、
写真の通り、彼女のコレクションがいっぱいあります。
普通ならここで、販売することも考えたりするのでしょうが、
彼女は売ることなど考えませんし、売るほど完成された物でもない。

むしろ素人の手作り感いっぱいで、あちこちにボロが出ている、
いわゆる未完成品が多いのですが、それが味わいがあって良いのです。
写真右の三角屋根は、段ボールと布を使って作った家ですが、
姫はこれを自分の家だと言って遊んでいますし、左上の切り絵は、
妻と姫が二人して、季節を表す絵を作って楽しんだものです。
ちなみに左下のテディベアと椅子も、姫お気に入りのママ手作りです。

気がつけばいつの間にか、ママの手作り品が増えてきて、
ボロ屋はさらにボロボロ屋で、楽しい我が家になりつつあります。
日本人の常識だと、僕らはもっと子どもの将来を考える必要があり、
学費や将来の備えとして、お金を稼ぐのが親のつとめだとか。
だけど僕はそれよりも、姫に幸せを積み重ねて見せたいのです。