江戸しぐさ

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最近は、人間を管理することばかりが目立って、
お互いを思いやる心意気というか、潤いがありません。
江戸時代には、狭い所に大勢住んでいましたから、
こうした気遣いが、庶民の知恵として定着していました。
先日読んだ小冊子に、江戸の知恵として書かれていたので、
そのいくつかの例を、ご紹介しておきましょう。

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★肩引き=人混みですれ違うときに、
 お互い体を斜めにしてすれ違うこと。

こんなあたりまえに思っていることさえ、よく考えてみれば、
日本文化が持っている、日本人独特の仕草だったんですね!

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★傘かしげ=雨の日に道ですれ違うとき、
 お互いに傘を外側に傾けること。

これなんか最近では少なくなって、自分のことばかり考えて、
傘を内側に傾ける人が、多くなっているように思います。

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★うかつあやまり=少しぐらいのイザコザは、
 「すみません、こちらがうかつでした」と謝って収める。

お互いに自分は悪くない、とばかり突っ張れば、
収まるものも収まらずに、イヤな思いをするものですからね。

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★束の間つきあい=渡し船でたまたま一緒になった人でも、
 仏頂面をせずに和やかに挨拶をして会話を楽しむ。

こんにちは、よいお日和で!とかなんとか、
差し障りのない挨拶でも、心は和むものですから。

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★七三の道=道の真ん中を歩かずに、自分は道の3割を使い、
 残りの7割は他人のために空けておくこと。

限られた場所を奪い合うのではなく、お互いに3割なら、
誰か他の人が来た時も、スムーズに入ってこられます。

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★お心(しん)肥やし=いつも自分の心を、
 豊かにするように心がけていること。

どんなことに出会しても、自分の心の糧になるのだから、
大切にできるように、いつも心がけていたいものですね。

こんな具合に、考え方を持って生きていれば、
人と対立したり争ったりすることなく、暮らしていける。
そんな生活の知恵と言えそうな、教えではありますが、
少なくとも僕らの世代までは、当たり前のことであって、
特に何か学んだわけでもないまま、身に付いていたのです。
こうした仕草を「江戸しぐさ」と言われて初めて、
あたりまえではないのだと、意識するようになりました。

こうした心構えとしぐさが出来ていれば、昨日の記事のような、
国同士の争いごとも無くなり、殺し殺されることもない。
そう思えば、国同士の戦争というものだって同じこと、
お互いを思いやる、気遣いの心意気が必要なのでしょう。
争いで勝つことよりも、争いをしないことが大切だと、
狭い所に大勢住んだからこそ、知り得た知恵だったのです。
狭い地球に多くの国が、争わない知恵が大切ってことでしょう。