パトリオット(PAC3)配備

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北朝鮮が、4月12日~16日の間に人工衛星を打ち上げる、
国際海事機関に通報予告したことで、日本は大騒ぎになっています。
田中直紀防衛大臣は、自衛隊に破壊措置命令を下すことを検討すると表明し、
沖縄本島石垣島に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備を、
検討していることを明らかにした、とニュース報道が伝えています。
ちょうどこの時期に予定されていた、首相主催の花見会も中止が決まって、
石垣島では、さっそく市長が「市民の安全を守るために配備は当然の措置だ」
と受け入れを表明していますし、石垣市議会も早急な配備を求めるとか。

何とも安直で、北朝鮮に踊らされてばかりいるようにしか見えませんが、
前回は東北方面で実際に配備されましたから、今回も配備はされるでしょう。
しかしながら、このパトリオットが実戦でどれほど有効なものかは、
あまり期待しない方がいいと思うのは、僕だけではないようです。
23日の琉球新報社説では、
「PAC3の射程は20キロ。広大な海域を防衛するには限界がある。
 迎撃できる確証はない。PAC3が外れたら、どこに着弾するのか。
 北朝鮮からの飛来物が事故などで一部が落下する場合、落下地点の予測は
 さらに難しくなる。沖縄だけでも広大な海域に大小約160の島が点在し、
 迎撃は非常に難しいとみられる。なぜ限界が指摘されている配備にこだわるのか。」
として、さらに次のように続けています。

島嶼(とうしょ)防衛を打ち出した防衛当局が、南西諸島周辺の危機を
 演出しようとしている、とみる向きもある。PAC3を配備することで、
 市民の目を慣らそうとしているという懸念も広がっている」

実は沖縄の南西諸島では、与那国島自衛隊受け入れを皮切りに、
少しずつ軍事を日常化させている傾向があり、今回はその流れの中で、
実際の役に立つ立たない以上に、軍備を配置することに意味があるようです。
そもそも北朝鮮の軍事力や国力を見れば、外国と本格的な戦闘など出来ないし、
これを外交手段として振り回すことはあっても、戦争など出来ないでしょう。
それは日本の防衛当局者もわかっていて、その上で今回の騒動を利用して、
沖縄の先島諸島における軍備強化と、最新鋭装備への予算獲得を狙っている。
今までの政府のやり方を知る人は、当然そのように考えるでしょうし、
当の自衛隊も、出来れば迎撃ミサイルSM3もPAC3も使いたくないでしょう。
使って役に立たなかった場合、それこそ北朝鮮の思う壺でもあるのですから。

沖縄本島では、長年の基地闘争によって平和運動が根付いていますが、
石垣島宮古島では、あまり戦争被害がなかったので平和意識もやや乏しい。
そこへもって、北朝鮮や中国の脅威を政府マスコミが宣伝してしまえば、
離島の人々はすぐに不安になって、防衛システムがあるなら使って欲しいと思う。
だけど長年平和運動に取り組んできた、沖縄本島琉球新報だからこそ、
こうして少ずつ軍事にならされていくことに、危ない匂いを感じるのであって、
「現実的な選択は迎撃ではなく、発射させない平和的な外交努力だ」
と結んでいるのは、まったくその通りだろうと思うのです。