惑星探査機「はやぶさ」

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このところ、宇宙に関心の薄い人でも耳にするのが、
小惑星イトカワ探査機「ハヤブサ」の、地球帰還の話題です。
日本各地のプラネタリウムでは、上映会もあるようで、
僕も近くで機会があれば、是非とも見たいと思っています。

このハヤブサは、2003年5月9日に打ち上げられた、
イオンエンジンと言う、これまでのエンジンとはまったく違う、
新しい発想のエンジンの実証実験と、それに合わせて、
地球が出来た時代の秘密を探る、惑星サンプル採種が目的でした。

ところが小惑星イトカワに到着後から、いくつもの問題に遭遇し、
一時は帰還が絶望視されたものが、奇跡的に帰ってくる。
当初は、2007年の夏に戻ってくるはずの予定から、
3年遅れた今年の5月、まさに三日後の13日に帰還する。

人間こそ乗っていませんが、この7年間の可能性との戦いは、
単なる科学の世界を越えた感動の物語を秘めています。
衛星のバランスが崩れ、太陽光うまくが当たらなくなった衛星は、
バッテリーが切れて、地球との通信が途絶えてしまうのです。

ここで多くの人が、ハヤブサの帰還をあきらめてしまったのに、
わずかな可能性として、ハヤブサが必ず太陽にパネルを向ける瞬間、
地球に送られてくる電波をキャッチすれば、再コントロールできる。
そう信じて電波を待ち続けたチームが、ついに成功するのです。

さらにイオンエンジンの故障停止など、次々に起きる問題で、
最終的には、4年の予定が7年掛かってようやく帰還しますが、
この話は、人が何かを成し遂げようとするときの意志の大切さと、
諦めないで工夫と努力を続けることの、大切さを教えてくれる。

プロジェクトリーダーの川口さんが、ハヤブサの帰還を、
「我々の力だけではない、ハヤブサが帰ってきてくれた」と言う。
そこには科学技術だけではない、何者かの意志が関わってこそ、
時空を越えて成し遂げられるものがあることを、教えてくれるのです。

“人事を尽くして天命を待つ”
僕らはその人事を、どれほど尽くせているでしょうか!
そのための目指すところを、どれだけ明確に把握しているでしょうか!
ハヤブサは、そう問いかけながら地球に帰ってくる気がします。