中村哲の「落としまえ」

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来月、「アフガニスタンに命の水を」との活動で知られる、
ペシャワール会の代表、中村哲さんの講演会があります。
彼の活動はすでに有名なので、知る人は多いのですが、
海外に自衛隊を派遣したい人たちからは、煙たがられて、
前政権の時には、国会招致での発言も問題になっていました。
アフガンに自衛隊を派遣しようと、国会で審議していたときに、
自衛隊の派遣は有害無益だからやめて欲しい!」と、
はっきり反対する意見を言ったから、物議を醸したのです。

それまで日本の援助は、文民支援に限っていたことから、
すぐに軍隊を派遣する欧米と違って、親しみをもたれていた。
そんな日本が自衛隊を派遣すると決まって、現地の親日感が崩れ、
伊藤さんが撃たれて亡くなったことで、日本人の撤退が始まる。
中村哲さんは、ペシャワール会の日本人をすべて日本へ帰し、
その後は一人現地で、用水路の完成まで指揮を執り続けている。
いったい何故、そうまでしてアフガンを支援するのか?

「後始末は、今の事業の完成ですね。(中略)若い者を帰して、
 第二の犠牲者を出さないで、落としまえはつける。」

彼は澤地久枝さんの取材に、こう答えていることが、
今年2月に岩波書店から出版された、本の中に書かれていました。
「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る ~アフガンとの約束~」
こう題された本の中で、彼は自分の生い立ちから今までを、
何一つ包み隠さずに、素直な心境まであからさまに語っています。
それは聞き手、澤地久枝さんの力量によるものでもあるでしょうが、
自ら判断したことには責任を持つ、一本気な彼の性格が表れて、
この本自体とても読み応えがあって、彼の心が伝わってきたのです。

中村哲さんは、なぜペシャワール会の活動を始めたのか、
もしかすると講演会でも、その話は聞けるかも知れませんが、
この本では、「花と龍」のモデルになった祖父のことから、
滅多に聞けない彼自身のプライベートまで、書かれていました。
九州若松で、仲仕のまとめ役をしていた祖父母の暮らしぶりや、
戦後の混乱期に、酒豪だった両親に育てられたことを知ると、
「落としまえはつける」と答えた、言い回しが腑に落ちるのです。
 
本は本で読んでいただきたいのですが、講演は講演で、
彼の話を聞きに行って欲しいと思い、案内を書いておきます。

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アフガンに命の水を ~ペシャワール会 中村哲医師26年間の現地報告~

日時:2010年6月17日(木)
 19時~(開場18時30分)
 
会場:富山県射水市アイザック小杉文化ホール ラポール ひびきホール

主催・お問合せ:中村哲さんの話を聞く会
    9条平和小杉の会事務局  (●電話:0766-56-3337・大橋さん)

参加費:1000円(大学生以下 無料)
※無料駐車場有り
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富山県以外の人は、ペシャワール会のHPからチェックしてみてください。
 
澤地久枝さんが取材編集した、中村哲さんの本
「人は愛するに足り、真心は信ずるに足る ~アフガンとの約束~」は、
↓こちらから。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4000245015?ie=UTF8&tag=isobehon-22