男のこだわり

渡辺淳一の「恋愛は革命」を読んでいたら、
ハンフリー・ボガードイングリッド・バーグマンの「カサブランカ」が、
歴代の優れた映画脚本の中の最優秀脚本に選ばれたと書いてありました。
なんとまあ古い映画だけど、たしかに僕も大好きな映画ではあるんです。

さてこの映画の中で、ボガードが演じるリックは、
バーグマンが演じる昔の恋人イルザに対して、
彼女がナチに追われている夫をアメリカに逃がしたいために、
自分に近付いたことを知りながら、その手助けをして旅券を取ってやる。
このせつない男心に、世界中の観客は拍手喝采をしたという。

渡辺さんは、この映画を見た女性は男の優しさにうっとりとはしても、
これと同じことを女性は決してしないのだとおっしゃる。
僕が言うのではない、かの渡辺さんがおっしゃるのだから真実味がある。
そして僕も、やっぱりこれは男の勝手なこだわりなんだろうと思う。
男は一度好きになった女を突き放すことはとても難しいのに、
女はけっこう打算的に見切りを付けるのがうまいのだ。

わかってはいても、男は打算では生きられない。
なにしろ命の本流は女の方にあるので、男はそれ以外の何かにこだわる。
好きになった女は命がけで守ろうとするのも男のこだわりなら、
リックのように、去って行く女にまで黙って手助けをする、
これも女には見られない、男だけのこだわりなのかも・・・

う~ん、実はちょっと違う気もするんだけどね・・・