自立しようよ!

エリート医師の長男が家族の母子3人を殺し、
「ゼロからやり直したかった」と発言しているらしい。
ゲーム感覚や受験教育の感覚丸出しの考え方だ。
そこには自立した自分というものが無くて、
問題はすべて自分の外側にあると考えている。
だから自分だけはそのままで外側をリセットすれば、
次はもっとましな結果が出せると考えるのだ。

すべてを自分のこととして考える自立心がまったく無い。
彼がまだ実社会を知らない16歳であることを考えれば、
そんな考え方に育てた教育はあきらかに間違っている。
この国の教育には愛国心云々どころか人間がいない。
制度とシステムばかりがあって全人格が消えている。
資格と点数と肩書き社会の一角を担うあまり、
人生が何かを学ぶ機会を見失ってしまっている。
技術や協調性は育てられても自立心が無いのだから、
自分のことを自分で決断する勇気も失っている。

サッカーのワールドカップを見ていて思った。
技術力や俊敏性や協調性は優れていても勝てない理由は、
それぞれの人間が「上手」なだけで自立していない。
自分のポリシーで生き抜くパワーが見られない。
ジーコ監督はさぞやもどかしい思いをしたろうと思う。
これはたしかに、この国の国民性の現れなのだろう。
自立した市民活動が育たないで役人が偉そうな国。
そうした価値観がすでに行き詰まっているから、
若い人を中心に既成社会を拒絶する人が増えている。

あらゆるものが過剰で肥満した社会と言うべきか?
自らを振り返る能力まで失っているのだろうか?
いや僕は必ずしもそうとは思っていない。
マスコミや役人を見ていると社会は悲観的に見えるけど、
自立して生きようと努力している人の中には、
すでに新しい社会の萌芽を見ている人もいる。
さてそれをどのように育てるかを考えたい。
まずは硬直した頭を柔らかくして考えたいと思う。