歌会始

大雪も一段落して、気温も上がり、
静かにしていると水音がよく聞こえる。
春を思わせる、嬉しい雪解けの水音だ。
山間地では雪崩も心配になるだろうけど、
まずは多すぎる雪が溶けてありがたい。

こんなやや暖かい日に歌会始があった。
世の中には皇室を嫌う人も多いけど、
農耕、質素、学問を重んじる皇室は、
お金の闇となった社会には貴重な灯だ。
それもやがて滅ぼされるかもしれないが。

天皇、皇后、東宮東宮妃の歌の中で、
僕は東宮東宮妃の歌が好きだった。
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 いとけなき吾子の笑まひにいやされつ
  子らの安けき世をねがうなり(東宮
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 輪の中のひとり笑えばまたひとり
  幼なの笑ひひろがりてゆく(東宮妃)
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家族を制度と見れば問題は多いけど、
最小限の生活単位と見れば納得できる。
自然とともに生きる日本人の生活は、
法律よりも皇室行事に色濃く残っている。

この国の政治家は目先の利益しか考えないし、
学者は自ら専門の壺の中に落ち込んでいる。
こんな時代に古い文化を維持する皇室は、
いつか新しい文化の礎になるかもしれない。
そんなことを考えながら今年の歌を聴いた。