「マザー・テレサ」

一昨日、映画「マザー・テレサ」を見た。
http://www.motherteresa.jp/index2.html
たまたま本牧イカルのメンズディ(1000円)だったので、
何か新しい映画の一本も見ようかと思って行ったら、
ちょうど「マザー・テレサ」が始まるところで、
主演がオリビア・ハッセーと言うのを見て興味を持った。

なにしろこの女優は、「ロミオとジュリエット」を見たときに、
感動的なまでに美しいと思った女優でありながら、
その後はこれと言っていい役を演じていない気がする。
それからもう多くの年月が過ぎて、どんな女優になったか、
急に興味を覚えて見てみたくなったのだ。

イカルの映画館は休日でもけっして人の入りが多くない。
それが平日の昼だから、入場者はまばらだろうと思っていたら、
予想に反して、小さめの劇場ながら7割以上が埋まっていた。
そしていざ始まってみると、なんだかとても良質に仕上がっている。
マザーテレサのことなんて今さら映画で見る価値はあるのか、
とほとんど期待もしていなかったのに、感動した。

リビアの演技も優れていたけど、それ以上に監督の手腕がある。
マザーテレサカルカッタを出るために汽車に載ろうとしたとき、
ホームに倒れていたひとりの男がテレサを呼び寄せて、
「私は渇いている」と告げるシーンがある。
それはテレサが神の声を聞くシーンとなるのだけど、
混雑した駅のホームで、ふたりはまったくふたりだけの世界にいる。
それがとても素直によくわかるシーンになっていた。

ドキュメンタリーでは出来ない、ドラマでしか有り得ない心象真実!
それをこの監督ファビリッツィオ・コスタがうまく表現している。
そしてその後のストーリーでも、ただの偉人伝ではない、
テレサが終生一貫して何を求め何をしたのかが素直に伝わってくる。
世の中の雑音に惑わされずに生き抜いた魂の美しさが、
まさしくオリビア・ハッセーの美しさとしてよみがえって見えた。

イタリア映画なので、上映される映画館は限られるだろうが、
少しでも多くの人に見てもらいたいと思った。
たまたま僕個人の近況に即して言えば、この前日に、
人の心を動かさない平和集会に参加したばかりだったので、
多くの人の心を動かす行為とはどんなものかを改めて考えさせられた