建国記念の日

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橿原宮[カシハラノミヤ]鳥居)

今日2月11日は、日本の”建国記念日”ではなく、
建国記念の日」、と言うのが本当の名称だそうです。
どう違うのかと言えば、いつ建国されたか明確でないため、
審議会を開いて決めた、便宜上の建国記念日だからです。
ただしこの日に決めたことには、相応の理由があって、
日本書紀にある初代天皇が、即位した日を由来とします。

日本書紀によると、初代天皇は辛酉年春正月庚辰朔に即位、
とあり、現代の暦に換算すると、紀元前660年2月11日となる。
明治時代にはこれを紀元節と定めて、戦前まで続きましたが、
アメリカの占領によって、この記念日は廃止になります。
しかし1966年の祝日法改正により、「建国をしのび、
国を愛する心を養う。」とする目的で、再度制定されました。

実はこのような「建国記念の日」を定めた国は、珍しくて、
世界の多くの国では、独立記念日革命記念日となっています。
アメリカ、アルゼンチン、ウルグアイなどは独立記念日で、
イエメン、イラン、キューバなどは、革命解放記念日なのです。
歴史の古いオランダやイギリスなどは、建国記念日はなく、
長い歴史のどこを建国日とするか、決められないのでしょう。

アメリカが日本を統治するとき、日本文化を破壊しながら、
天皇制を廃止できなかったのは、歴史の長さに躊躇したのかも。
2600年近い昔を起源とし、現代まで独立を保った国は、
他には見当たらないほど、日本は希有な国だったのです。
アメリカ占領軍によって、紀元節は廃止されたものの、
まったく同じ日が、18年後に名前を変えて復活したのです。

日本の天皇制を嫌い、日本独自の年号さえ嫌う人もいますが、
そうした人たちの多くも、グレゴリオ暦は否定していないのです。
世界共通の暦を持つことは、生産性や合理性からは良いでしょうが、
文化の多様性を重んじる点から見れば、必ずしも良くはない。
それぞれの地域や文化には、独自の表現があって良いと思うし、
日本の天皇制は、多様性においてユニークな価値があると思います。

日本人としてのアイデンティティが、失われている今日に、
負の遺産を引き継ぐのではなく、多様性として受け継ぐもの。
様々な価値の一つとして、2600年の歴史を見直し、
これから人々が何処へ向かえば良いか、あらためて考えてみる。
そんな意味での建国記念の日になれば、いいなあと思いつつ、
2月11日の今日の日に、思いを馳せてみるのです。